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最終更新日:2024年10月1日

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バイオ・ソフトマターの物理[物質基礎科学コース]

バイオ・ソフトマターの物理
ディスプレイに使われる液晶や食品に含まれるゲル、我々自身を含む生物は、共通して柔らかな(ソフト)性質を持つ。こうしたソフトな物質を構成する高分子やタンパク質などを、一般にソフトマターと呼ぶ。本講義では、ソフトマターが示す多様な相転移や物性を物理的に理解するための理論的枠組みについて解説する。またソフトマターは我々の身の周りに多く存在することから、その理論を適応可能な実例とその限界について紹介する、というスタイルで講義を進める。
講義の前半では、はじめに高分子(棒状/紐状分子)や高分子集合体である膜の物性について、その変形や力の釣り合い(Young-Laplace則)、弾性的性質、座屈現象について学ぶ。これらは、例えば液滴や泡などの安定性や、生物細胞の形態やDNAの折り畳みなどを考えるときに重要な要素となる。続いて液晶を取り上げる。液晶とは、細⻑い高分子が同じ向きに揃っている状態(相)であり、相転移によって現れる。液晶を用いたディスプレイの動作原理の背後には、フレデリクス転移という現象がある。これらの転移現象を、系の対称性や熱力学に基づいて理解することで、ソフトマターの基本的な考え方を学ぶ。
講義の後半では、相転移・相分離の物理を議論する。我々の身の回りでは、水が氷になるなど、様々な一次相転移(不連続な相変化)が起こっている。講義の前半で学ぶ液晶の配向相転移もその一例である。一次相転移による系の変化は、時間的に一瞬で終わるものではなく(水は一瞬では氷にならない)、実際には徐々に新しい相が形成されてゆく。この過程で相がドメイン構造をなし、魅力的なパターンが出現する。この講義では、統計力学の初歩的な知識から出発して、この相転移・相分離の動力学過程がいかに物理的に理解されるかを解説する。その後、水や高分子溶液の液体-固相転移、高分子混合系や近年注目されている細胞質の液液相分離などを例に、こうした物理的枠組みが適応できる領域と、できないが故に解決すべき課題について紹介する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08E1181
FAS-EA4C81L1
バイオ・ソフトマターの物理[物質基礎科学コース]
池田 昌司
S1 S2
火曜1限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
×板書による講義
授業の方法
×板書による講義
成績評価方法
レポートによる
教科書
指定しない
参考書
指定しない
履修上の注意
指定しない
その他
講義資料はITC-LMSに事前にアップロードしますので、ダウンロードしておいてください。 1-2回:【理論】1-2次元物体の物理:梁, 紐, 膜 3回:【実験】2次元膜系の実験と細胞の形 4-5回:【理論】液晶,配向相転移 6回:【実験】身近な液晶と細胞にみられる液晶 7-10回:【理論】相転移、相分離 11-12回:【実験】細胞質や細胞膜の相転移、相分離 13回:予備日