学部後期課程
HOME 学部後期課程 物質基礎科学特殊講義I
学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月22日

授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。

物質基礎科学特殊講義I

強相関電子系の基礎と応用:多軌道電子系と相対論補正の物理 Fundamentals and Applications of Strongly Correlated Electron Systems: Physics of Multiorbital Electronic Systems and Relativistic Corrections
[目標]
固体物理学において近年盛んに議論されている相対論効果の起源や、強相関電子系において重要となる相互作用の効果を把握し、物質に対する理論的アプローチを理解できるようになること。

[概要]
局在性の強いd電子またはf電子を含む系では、相互作用の効果(電子相関)が重要となり、非従来型超伝導や量子磁性に代表される様々な興味深い現象を示す(強相関電子系)。また、近年の固体物理学では、様々な系においてスピン軌道相互作用に代表される相対論効果の重要性が認識されるようになってきている。

このような物性を理解するための理論的基礎として、本講義ではまず、固体物理学の基本的な物理量やハミルトニアンが量子電磁気学からどのように導出されるかを解説する(スピン軌道相互作用、ダーウィン項、電子カイラリティ、ブライト相互作用など)。その際、強相関電子系において重要となる原子軌道の表示に基づいて多軌道効果や相対論効果を整理する(フント結合、スレーター・コンドンパラメータ、多極子、トロイダル多極子、電気フォトン、磁気フォトンなど)。本講義では相対論的量子力学を扱うが、その予備知識を前提とせず、固体物理に必要な内容を厳選する。

その後、具体的な系において、多軌道電子系の典型的な振る舞いを局所的な電子相関に即して説明する。あわせて、このような系を記述するための理論手法(動的平均場理論、グリーン関数法、経路積分法、摂動論など)を必要に応じて紹介する。
MIMA Search
時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08E1156
FAS-EA4C53L1
物質基礎科学特殊講義I
星野 晋太郎
A1 A2
未定
マイリストに追加
マイリストから削除
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
【 I. 電子系理論の基礎 】 1.理想フェルミ気体 2.強束縛近似 3.グリーン関数法 4.量子統計力学と作用積分 【 II. 固体中電子の従う量子力学】 1.相対論的量子力学:ディラック方程式 2.非相対論極限とスピン・軌道相互作用 3.電子と光子の相互作用:クーロン・ブライト相互作用 4.双一次形式と物理量 5.球面波表示と多極子 【 III. 多軌道強相関電子系の典型的振る舞い】 1.多軌道ハバードモデル 2.動的平均場理論 3.フェルミ液体 4.超伝導 5.モット絶縁体
授業の方法
板書による講義
成績評価方法
レポート
教科書
特に指定しない。
参考書
必要に応じて講義中に紹介する。 例えば、多軌道電子系については 斯波弘行 「強相関電子系の物理」 相対論的量子力学については ベレステツキー・リフシッツ・ピタエフスキー 「相対論的量子力学」 経路積分法については 永長直人 「物性論における場の量子論」 などがある。
履修上の注意
電磁気学、統計力学、量子力学の基礎。