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量子力学I[物質基礎科学コース]

量子力学 I (Quantum Mechanics I)
現代物理学とりわけ物質科学の共通言語としての量子力学入門コースであり, できるかぎり系統的で平易な解説を試みる.しかしながら巷に溢れる量子力学の啓蒙書を通じて歪んだイメージが先行し,量子力学が自然を「完全に説明してくれる」ことを期待しつつこのコースに足を踏み入れるならば, 真実を知って愕然とするにちがいない.なぜなら量子力学は「電子とは何であるか」,この最も素朴な問いかけにさえ何も答えてはくれないからである.むしろ量子力学は,これらの「説明」をきっぱり諦める代わりに与えられた条件下で今後,何が起きるかを予測するための「(今までに一度も間違ったことがないという意味で最も)精確な計算の体系」を与えてくれるのである. それでも量子の世界は, 日常生活とはかけ離れた直感に反する不思議な現象に満ち溢れているのだ, という漠然とした期待感が興味を誘うのも事実である. ところがこれに関しても量子力学は, あくまでもクールかつドライに「当たり前のことが当たり前に起きているに過ぎない」ことを如実に示すのである. 本講義の目的のひとつは, こうした認識を醸成することにある. 時間の制約から本講義では, もっぱら定常状態の量子力学を中心に基礎固めを行う一方で, 量子エンタングルメントのような最近になって急速に理解が進んだ内容についても取り上げる. 量子エンタングルメントは, ある種の渡り鳥の方位感覚との関係が論じられており, 統合生命科学コースの学生で興味がある諸君の聴講を歓迎する. 尚, 量子力学に必須の解析力学ほか物理数学に関する基礎事項は,必要に応じて適宜, 積みあげを行うのでとくに心配する必要はない.
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08E1109
FAS-EA2C10L1
量子力学I[物質基礎科学コース]
鳥井 寿夫
A1 A2
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教室
講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
1 古典論の破綻(前期量子論から量子力学の体系へ) (黒体輻射, 光量子仮説,Bohr模型,不確定性原理, 二重性,相補原理, EPRパラドクス, 量子エンタングルメント,Bellの不等式まで) 2 Schrödinger方程式 (Schrödinger方程式, de Broglie波,波動関数,重ね合わせの原理,確率解釈,波束,エーレンフェストの定理) 3 量子力学の一般論 (ヒルベルト空間,状態ベクトル, エルミート演算子,スペクトル分解, 固有値と固有状態, 識別可能性, 観測可能量と期待値, 行列力学, 交換関係と不確定性) 4 一次元ポテンシャル問題 (自由電子,量子井戸の束縛状態,反射・透過, トンネル効果,WKB近似) 5 一次元調和振動子 (ゼロ点振動, 最小不確定性, 古典的転回点, 生成・消滅(昇降)演算子,位置・運動量演算子, フォック空間, コヒーレント状態) 6 時間変化する場合の取り扱い (Schrödinger表示,Heisenberg表示,相互作用表示, ユニタリ発展, Heisenberg方程式)
授業の方法
パワーポイントと板書による解説(一部,デモ実験あり)を中心に進める.
成績評価方法
レポート課題、授業前の小テスト、および期末試験による総合評価
教科書
畠山 温著『量子力学』日本評論社
参考書
1) 小出昭一郎著 『量子力学I,,II』 裳華房 2)  J. J. サクライ著、桜井明夫訳『現代の量子力学 I,II』 吉岡書店 3) ファインマン、レイトン、サンズ著、砂川重信訳『ファインマン物理学V  量子力学』 岩波書店
履修上の注意
3Sセメスターに開講される「量子力学演習I」を合わせて履修することが望ましい。