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最終更新日:2024年4月22日

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科学技術社会論特論II

科学技術とジェンダー/ Gender in Science and Technology
「科学技術とジェンダー」というとき、今日的には大きく二つの方向性での問題が挙げられる。一つは、科学技術分野におけるジェンダー格差の問題であり、科学技術分野における女性の割合・数の少なさ、組織・制度上の課題などの問題が含まれる。もう一つは、ジェンダー視点から問い直される科学技術「知」の客観性や中立性の問題であり、知の生産プロセスにおけるジェンダー格差や無意識のジェンダーバイアスが、大学や企業等で生み出される知識やそれに基づく技術や製品の開発等に偏りと画一性を生じさせること、それによる女性(の問題)の不可視化、リスク・便益分配の不平等などが含まれる。こうした問題群も一つの背景に、近年の科学技術政策においては、科学研究・開発のあり方自体のジェンダー主流化、すなわち組織や環境、また計画・実施・モニタリング・評価等のあらゆる段階での性差/交差性分析に基づく政策・プロセスの埋め込みが検討されている。
本講義では、社会の中の科学技術の在り方や科学技術イノベーションと社会の相互関連性などを扱う科学技術社会論(STS: Science and Technology Studies)の視点から、「科学技術とジェンダー」をめぐる課題群やその背景、これまでの議論を概観するとともに、多様性と包摂を達成する科学技術イノベーションのあり方について、国内外の動向・課題を批判的に検討できるようになることを目指す。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08D1026
FAS-DA4B37L1
科学技術社会論特論II
標葉 靖子
A1 A2
未定
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
基本的には以下の項目を扱うが、授業の進捗および履修生の興味・関心に応じて若干変更となる可能性がある。 1) 科学技術社会論とは 2)「科学技術とジェンダー」をめぐる問題群(概論) 3) 科学技術分野におけるジェンダー格差(人材、組織・制度) 4)「知」に埋め込まれたジェンダー・バイアス 5)「フェムテック」の倫理的・法的・社会的課題(ELSI) 6) 責任ある研究・イノベーション(RRI)と「共創」 7) 科学技術イノベーションプロセスのジェンダー主流化(組織・環境、計画・実施・モニタリング・評価等) 8) ジェンダード・イノベーションとは(概論) 9) ジェンダード・イノベーションの具体的事例(性差/交差性分析) 10) 市民の科学技術関与と科学的リテラシー(Vision-I, II, III) 11)「共創」をデザインする 12)「共創」をデザインする(発表) 13) 多様性と包摂を達成する科学技術イノベーションに向けて
授業の方法
テーマに関わる文献等を参照しながら、講義およびディスカッションを行う。 グループワーク・発表を行う回もある。
成績評価方法
以下の事柄について、総合的に評価する。 1) 毎回の小課題(出席確認含む) 2) ディスカッションへの貢献 3) 期末レポート
教科書
特になし ※「参考書」欄に記載した文献の他、近年の研究・動向等については文献(英語)を適宜参照する。
参考書
藤垣裕子 責任編集『科学技術社会論の挑戦 1〜3』東京大学出版会. S・ハーディング著、森永康子訳『科学と社会的不平等——フェミニズム、ポストコロニアリズムからの科学批判』北大路書房、2009年. L・シービンガー著、小川眞理子+東川佐枝美+外山浩明訳『ジェンダーは科学を変える!?』工作者、2002年. C・クリアド=ペレス著、神崎朗子訳『存在しない女たち——男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』河出書房新社、2020年. 河野銀子、小川眞理子編著『女性研究者支援政策の国際比較——日本の現状と課題』明石書店、2021年. Schiebinger, L. ed. "Gendered Innovations in Science and Engineering" Stanford University Press, 2008.
履修上の注意
本授業は、科学や技術に関する専門知識は前提としない。毎回の小課題として、出席確認を兼ねたミニッツレポートの他に、リーディング・アサインメントや事前リサーチを課すことがある。授業内では積極的な発言を求めるため、適宜授業内で紹介した文献や関連記事等に目を通しておくことが望ましい。