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最終更新日:2025年4月1日

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特殊講義I[韓国朝鮮研究コース]

慰安所・慰安婦をめぐる歴史研究の展開と論点
第二次世界大戦において、日本帝国の軍隊が、戦地に慰安所と呼ばれる施設を設置し、慰安婦と呼ばれる女性たちを集めて、軍人らの性欲処理に当らせていた。このことは多くの女性たちの尊厳を傷つけ、人権を侵害した。この問題は1990年代初頭に韓国人被害者が名乗り出たことなどを契機に大きな注目を集めるようになった。それによって、関連する史実の解明に取り組む研究者も現れ、歴史研究が進展した。
 しかし、慰安所・慰安婦の歴史をどうとらえるかは、意見の対立がある。そのことは日韓間の良好な外交関係や市民の交流を妨げて来たし、今後もその要因となる可能性がある。論争はすでに、30年にもわたっており、何が論点であり、どのような主張がなされているのか自体の整理もそう容易ではない。
 そこで、この授業では、慰安所・慰安婦をめぐる歴史研究がどう展開され、現在、未解明の論点にどのようなものがあるか、対立する論者の見解がそれぞれどのようなものであるかを考え、確認していく。具体的には、慰安所・慰安婦に焦点を当てた代表的な歴史研究やそれに対して反論を加えた論著を取り上げ、受講者と読み討論をしていく。その際には、慰安所・慰安婦それ自体に直接かかわる史実だけではなく、公娼制度や管理売春、植民地民衆と統治権力、オーラルヒストリーの有効性といった問題についても取り上げることを予定している。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C2914
FAS-CA4R09L1
特殊講義I[韓国朝鮮研究コース]
外村 大
S1 S2
火曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
1、ガイダンス―在日コリアンについての概説 授業の概要と目標について説明し、参考にすべき文献の紹介や基礎的知識の確認、授業で扱う文献等について、説明を行う。 第一回の授業はオンラインで実施する。 2、慰安所・慰安婦をめぐる歴史研究の展開 3、1990年代の被害者支援の運動と歴史研究 4、「吉田清治証言」をめぐる混乱 5、オーラルヒストリーの有効性をめぐる問題 6、慰安所・慰安婦と公娼制度との関係 7、公娼制度と慰安所・慰安婦との関係 8、民間業者の活動と責任をめぐる問題 9、慰安婦の要員確保での強制性をめぐる問題 10、日本人慰安婦と朝鮮人慰安婦の差異をめぐる問題 11、同時代の慰安所・慰安婦認識をめぐる問題 12、解放後/戦後の慰安所・慰安婦認識をめぐる問題 13、全体を通しての討論
授業の方法
教員が指定した文献を、受講生が全員が読むとともに、指定した1人以上の学生が報告し、それをもとに討論を行う。
成績評価方法
毎回の授業に対するコメントの提出、および学期末レポートの提出、そして平常点(授業への積極性・貢献度)などを総合的に勘案して成績評価を行う。
教科書
特に指定しない。
参考書
吉見義明『従軍慰安婦』岩波新書、1995年 尹明淑『日本の軍隊慰安所制度と朝鮮人軍隊慰安婦』明石書店、2003年 永井和『日中戦争から世界戦争へ』思文閣、2007年、のうち「第五章 日中戦争と陸軍慰安所の創設」 宋連玉『植民地「公娼制」に帝国の性政治をみる : 釜山から上海まで』有志舎、2023年 秦郁彦『慰安婦と戦場の性』新潮社、1999年 ラムザイヤー『慰安婦性奴隷説をハーバード大学ラムザイヤー教授が完全論破』ハート出版、2023年 朱 益鍾『反日種族主義「慰安婦問題」最終結論』文芸春秋、2024年 外村大「「和解」はなぜ困難なのか : 慰安婦問題と市民運動・歴史研究」『Odysseus : 東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻紀要』2023年3月
履修上の注意
慰安婦問題の解決のための外交的努力や日韓両政府の施策、韓国朝鮮以外の慰安婦については、授業では集中的に扱う予定はないが、一定程度の知識があることが望ましい。 参考文献にあげた論著をできるだけ読んでおくこと。すべてをこの授業で取り上げるわけではないが、ある程度、それらの文献がどのようなものであるかを踏まえて授業での議論を行う予定である。