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最終更新日:2024年4月22日

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アメリカ文学論

ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』を読む Reading Vladimir Nabokov’s Lolita
 ロシア生まれの作家ウラジーミル・ナボコフが英語で執筆したもっとも有名な長編小説である『ロリータ』(Lolita, 1955)を通読する演習形式の授業です。センセーショナルな内容で知られる作品ですが、ことばの魔術師と呼ばれることも多いナボコフが緻密に構築するフィクションの世界は時間をかけて考察する価値のあるものです。小説中で異邦人の視点から観察されるアメリカ合衆国の姿、芸術や創作と結びついてあらわれるジェンダーの問題、小説の言語とはなにかといった問題を含め、この小説をなるべく多角的かつ丁寧に読んでいきます。小説の読解が中心となりますが、スタンリー・キューブリック監督による1962年の映画版も最後に扱います。
 細かい言語表現に注意を払いながら作品への理解を深めること、背景にある合衆国の社会的・文化的なコンテクストについての知識を得ること、テクスト分析の方法を実践的に身につけること、英語で書かれた小説の文章を継続的に読む習慣を身につけることなどを目標とします。ナボコフの書く英語は読みやすいものではないかもしれませんが、予習をこなして毎回の議論に積極的に参加してくれるかぎりあらゆる学生の参加を歓迎します。小説・映画のテクストを検討しながら各自の関心を発展させる機会にしてください。
 この科目は後期課程と大学院の両方の学生が受講しうるものですが、学部生であっても大学院生であっても履修に際して不安を感じる必要はありません。幅広い学年の受講生のあいだで活発な意見交換が生まれることを期待します。

※学部・研究科の方針に従い、初回のみZoomでのオンライン授業、2回目以降は対面授業となる予定です(2023年1月時点の記述)。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C2648
FAS-CA4O14L1
アメリカ文学論
井上 博之
A1 A2
金曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
※下のスケジュールは暫定的なもの。初回は予習の必要なし。 1. イントロダクション、授業概要の説明 2. Vladimir Nabokov, Lolita (1955): Foreword + Part 1, Chapters 1–8 / 授業形態(・発表担当)の決定 3. Part 1, Chapters 9–12 4. Part 1, Chapters 13–19 5. Part 1, Chapters 20–26 6. Part 1, Chapters 27–31 7. Part 1, Chapters 32–33 + Part 2, Chapters 1–2 8. Part 2, Chapters 3–10 9. Part 2, Chapters 11–18 10. Part 2, Chapters 19–23 / 期末レポートについて説明 11. Part 2, Chapters 24–29 12. Part 2, Chapters 30–36 13. “On a Book Entitled Lolita” + Stanley Kubrick, dir., Lolita (1962)
授業の方法
 初回はガイダンスとし、2回目以降は指定範囲の予習が前提となります。毎回ペイパーバック版で25〜30ページほどのペースで読み進めます。3〜4回目以降の形態は受講者数を考慮して判断します。比較的少人数の場合、発表担当は決めずに全員が気になる点や考察を箇条書きにした読書メモを持ち寄って議論します(学期の中盤からは履修者1人ずつに議論の進行役も担当してもらいます)。ある程度の人数がいる場合、個人またはグループによる発表を中心に進めます。前半は担当者による解説・考察と問題提起、質疑応答と教員による補足、後半は発表内容を受けてのグループあるいはクラス全体でのディスカッションといった流れです。いずれにしても毎回ディスカッションへの参加と発言を求める授業なので必ず予習をし、意見や疑問点を持って参加してください。毎回の授業の最後に短いレスポンス・ペイパーの提出を求め、期末レポートでは各自で設定したトピックを授業内容をふまえて論じてもらいます。希望者の期末レポートにはコメントをつけて返却します。
成績評価方法
 予習、ディスカッションへの参加、授業内での発言を中心とする平常点(30%)、レスポンス・ペイパー(10%)、発表担当あるいは読書メモ(20%)、期末レポート(40%)を基本として判断します。ただし、期末レポートの提出(と発表がある場合はその担当)は単位認定のための必須条件とします。正当な理由なく4回以上欠席した場合も単位認定はありません。
教科書
 初回授業前に購入する必要はありませんが、『ロリータ』はなるべく下に指定するVintage Books版を入手してください。生協にも若干部数を注文します。紀伊国屋書店ウェブサイト、Amazonなどで入手してもかまいません。ページ番号をあわせることはできませんが電子書籍版の使用も可能です(ナボコフを読むには紙の本と電子書籍の両方があると理想的)。また、参考書欄に挙げているThe Annotated Lolitaをテクストとして使用してもかまいません。この場合、ページ番号 *****共通です。映画については各自で鑑賞手段を確保してください。 ・Nabokov, Vladimir. Lolita. 1955. Vintage Books, 1989. [ISBN: 978-0679723165](現在流通しているのは女性の口元が大きく写された表紙のもの。Amazonでは違う版のページに誘導されることがあるため、ISBNで正しい版かどうか、加えて出品者や発送時期などを必ず確認してください。)
参考書
 下の参考文献以外のものも授業中に適宜紹介します。 ・Alexandrov, Vladimir E. Nabokov’s Otherworld. Princeton UP, 1991. ・Alter, Robert. Nabokov and the Real World: Between Appreciation and Defense. Princeton UP, 2021. ・Appel, Alfred, Jr., editor. The Annotated Lolita. Revised and updated ed., Vintage Books, 1991. ・Naremore, James. On Kubrick. Revised ed., British Film Institute, 2023. ・Quigley, Jenny Minton, editor. Lolita in the Afterlife: On Beauty, Risk, and Reckoning with the Most Indelible and Shocking Novel of the Twentieth Century. Vintage Books, 2021. ・Roper, Robert. Nabokov in America: On the Road to Lolita. Bloomsbury, 2016. ・Wood, Michael. The Magician’s Doubts: Nabokov and the Risks of Fiction. Princeton UP, 1995. ・秋草俊一郎『ナボコフ 訳すのは「私」——自己翻訳がひらくテクスト』東京大学出版会、2011年 ・沼野充義『徹夜の塊1 亡命文学論』増補改訂版、作品社、2022年 ・若島正『ロリータ、ロリータ、ロリータ』作品社、2007年
履修上の注意
・履修を希望する場合は初回の授業から参加してください。2回目以降は予習をしたうえでの参加が前提なので、やむをえない事情で初回に参加できない/できなかった場合はなるべく早く一度メールで教員に連絡してください。 ・履修に際して知識や専門分野は問いません。予習をこなして議論に積極的に参加してくれるかぎり、あらゆる学生の受講を歓迎します。ただし、毎回の議論の積み重ねを重視するので、正当な理由なく繰り返し欠席する受講者には単位の認定はありません。 ・ディスカッションや発表を含め、受講生の積極的な参加を求める授業です。ディスカッションの際はお互いの意見を尊重しながら考えたことをしっかり話し、議論しやすい環境を全員で作ってください。 ・履修に際して不安なことがあればいつでもメールでご連絡ください。