各テーマについて、教員による解釈、参加者によるテクストの解釈、ディスカッションを行う。具体的に扱うテクストや題材は以下の予定。
1)聖書や中世文学(ダンテ)における食や食事の描かれ方をたどり、実際のローマの古代遺跡の実例や中世ルネサンスの絵画表現なども参照する。
2)チーズや肉の加工製品がいかに風土の保全と関連しているかについて考えた上で、歴史的なテクストとしてボッカッチョのデカメロンやゲーテ、スタンダール等の旅行記や18世紀絵画から、風景・食・人々の暮らしについての歴史的な作品における描写を参照する。
3)国民食の大全ともいえるアルトゥージの料理書と、国民文学としてのマンゾーニの歴史大河小説「婚約者」が19世紀に果たした文化史的意義を考える。あわせて、今日のスローフード運動や有機農業、社会農場の実践など、食と農と共同体をめぐる現代の実例を参照しながら、食の問題を通して、国家やテリトリオの政治性・社会性についても考えたい。