第1回 What was ‘Nature’?: 「自然」の発見と分岐
自然法、自然神学、自然状態、physical natureの分岐
Johnson, Dictionary, “Nature”/ Rousseau, Discourse on Inequality
第2回 鑑賞の対象としての自然: ピクチャレスク美学の成立
崇高美とピクチャレスク、ツーリズムの先駆的事例
Gilpin, Observations on the River Wye; Burke, A Philosophical Inquiries into . . . the Beautiful and the Sublime: Wordsworth, Guide through the District of the Lakes
第3回 所有物としての自然:土地、囲い込み、移動
ロマン主義の時代は18世紀後半から19世紀初頭に議会制定法による囲い込みが進行し、土地利用や農村社会が大きく再編され、農村から都市への人口移動も進行することになります。土地をめぐる法的環境とその変化がどのようなものであったのでしょうか。関連する法規史料と言説・詩を横断して読みます。
Parliamentary Enclosure Acts: Locke, Second Treatise; Clare, “The Mores”
第4回 農業改革:Improvementは自然を豊かにしたのか?
第3回で見た囲い込みは、巨視的には農業革命の一環でもあります。マルサスの『人口論』は人口増加と食料供給との不均衡を大きな問題として提起しました。同時代に進行した農業改革は、食料生産と土地利用をどのように変化させたのでしょうか。その実態はどのようなものと言えるのでしょうか。
Arthur Young, Tours; agricultural reports; Malthus, Essay on Population;
Cobbett, Rural Rides
第5回 科学と自然
自然科学の台頭は自然をどのように分類し、知識としたのでしょうか。この時代に近代科学として確立する考え方は、自然をどのように捉え、それは文学とどのような関係があるのでしょうか。
Gilbert White, Natural History of Selborne; Erasmus Darwin, The Botanic Garden; Humphry Davy, Discourse Introductory to a Course of Lectures on Chemistry
第6回 産業と自然
イギリス・ロマン主義時代の科学の展開は、石炭や鉄鉱の炭鉱開発、工場の設立・操業、運河の全国的敷設と並行して進んでいきます。それによって自然はどう再編され、それが文学とどのように関わっているのでしょうか。
Anna Seward, “Colebrook Dale”; Wordsworth, The Excursion
第7回 自然と感性・想像力
ロマン主義において自然は感性で捕捉し、そして内面化され、想像力を通して象徴化される傾向があります。それはどのようなものとしてテクスト上に表出しているでしょうか。精読してみましょう。
Wordsworth, “Tintern Abbey,” and The Prelude (1805), Bks.1, 6, 13.
第8回 生命とは何か:自然・生命科学・文学
vitalism、生命原理、生命創造が重要な科学的問題になった時代において、ロマン主義にとって生命とはどのようなものとして考えられていたのでしょうか。自然科学における生命についての考察とロマン主義文学における生命についての記述との比較から何が見えてくるかを考えます。
S. T. Coleridge, “The Eolian Harp”; Mary Shelley, Frankenstein
第9回 気象を読む・詠む
18世紀後半から19世紀初頭には、温度計・気圧計などによる観測が広まり、観察記録も蓄積されます。一方、天候には依然として地域的・経験的知識や神学的摂理の観念も結びついていました。
Luke Howard, Essay on the Modification of Clouds; Dorothy Wordsworth, Grasmere Journal
第10回 自然が隠すもの
美しい風景の背後には土地をめぐる所有の問題が隠されてきているのがこれまでの授業で明瞭になってきます。同時に労働や貧困もそこに潜在しています。それはどのようなものとして文学の中には描かれているのでしょうか。
Wordsworth, “The Ruined Cottage,” / “The Old Cumberland Beggar”
第11回 帝国と植物ハンターたち
帝国の拡大は、科学者たち、中でも植物学者たちによる植物採集・調査と不可分でした。植物学的分類体系の発達を背景に、植物(プラント)ハンターたちは各地を移動し、植物を採集し、分類していきます。文学的にも重要な意味を持っています。
Maria Riddell, Voyage to the Madeira, and Leeward Caribbean Isles; Charlotte Smith, Beachy Head
第12回 自然、人種、人権
18世紀の自然史は、人間を気候や身体的特徴などによって分類し、人間の「差異」を自然の秩序のなかに位置づけました。その一方で自然権思想は人間の普遍的平等と自由を主張しました。奴隷制と帝国の時代に「人間」「自然」「権利」がどのように定義され、争われたかを考えてみます。
Johann Friedrich Blumenbach, On the Natural Variety of Mankind / Olaudah Equiano, The Interesting Narrative
第13回 ロマン主義と環境思想
ロマン主義の時代は自然環境への関心が高まったとも言えます。はたして、それは現代の環境思想に近いものと言えるのでしょうか。いわゆる産業革命が始まり、人新世の起点の一つとも考えられてきた時代に、ロマン主義はどのような環境思想を展開したと考えられるのでしょうか。
Wordsworth, A Guide to the Lakes: Byron, “Darkness”: Clare, “The Lament of Swordy Well”