学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月22日
授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。
原典講読特殊演習(4)[言語態・テクスト文化論コース]
“Anatomy of Criticism”を読む
“Anatomy of Criticism”はカナダの文芸批評家Northrop Fryeが1957年に刊行した著作で、本書によって文芸批評は独断的な印象の記述から理論的な分析と探究へと飛躍を遂げたと言っても過言ではない。
しかし、1960年代からフランス現代思想が英語圏のアカデミアで受容され、「批評理論」が確立されるなかで、本書の影響力は薄れたように見える。
だが近年、批評理論の権威に挑戦し、批評のあり方を根源的に考え直す傾向が顕著になっている(Eve Sedgwick, Bruno Latour, Rita Felski, Joseph Northなど)。こうした状況を踏まえながら、いま改めて“Anatomy of Criticism”を精読しつつ、批評という行為が抱えている困難と可能性についてじっくり考えることは有意義だと思われる。
本書を読むことで、最初は溢れる学識と含蓄ある(ありすぎて文脈が読めないこともしばしばの)文体に圧倒されるかもしれない。しかし、かつて批評を科学へと高めようとするには、これだけの背景知識と対象への執着が必要だと考えられていたと知るだけでも、現代の研究者にとって得るものは大きい。
まずは正確に本書を読み解いた上で、できる限りいま現在の批評や文学にも話を広げながら、受講生たちと議論を楽しめればと願っている。
MIMA Search