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最終更新日:2024年10月18日

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原典講読特殊演習(2)[言語態・テクスト文化論コース]

『フランケンシュタイン』の読解と批評理論
授業の目的
1.メアリ・シェリーの小説『フランケンシュタイン』を精読しながら、文学作品を「解釈」するという行為がどういうものかを理解する。
2.文学批評・文学研究としての基本的アプローチを確認しながら、実践する。
3.ロマン主義というものについて理解を深める。
4.文学の背後に広がっている社会・政治・文化の問題、あるいはジェンダーの問題についても視野を広げて考える。

授業の概要
19世紀初頭に書かれたメアリ・シェリーの小説『フランケンシュタイン』は、その中で創造された怪物が舞台化・映画化され続けることによって、後世に名を残し、世界中で高い知名度を誇ることになります。しかし、実際の小説はそうした単純化された受容とは異なり、複雑な構造と多様な要素を内包したものです。結果として、ときには相矛盾するような多様な解釈の仕方やアプローチを許容するテクストとなっています。文学研究の基本、また文芸批評理論、その適用の仕方などを学ぶには最適のテクストとなっています。
 この授業では文学テクストを精読するとはどういう行為であるか、そこからどのような解釈を導き出し、かつそれを証明していくかという文学研究の基本を、『フランケンシュタイン』の原書を精読しながら学んでいきます。その際に有効となりうる文学批評理論やそれぞれの問題についても学んでいきます。文学研究は受身的なものではなく、主体的・能動的にテクストを読み込み、客観的・批判的に解釈を吟味し、論理的に議論を展開していくものです。授業の中でその一連のプロセスを確認してもらえればと思います。
 とはいえ、文学は解釈する人の数だけ無限に異なる解釈を許容してくれる深淵な言葉の構造物です。とりわけ『フランケンシュタイン』には多様な要素が包摂されているため、読者によって新しい角度から切り込み、独創的な解釈をすることができます。授業を通して自分なりの方法論や文学観、さらには世界観を確立する土台を築いてもらえればと思っています。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C161302
FAS-CA4H12S3
原典講読特殊演習(2)[言語態・テクスト文化論コース]
大石 和欣
A1 A2
月曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
第1回 序論―『フランケンシュタイン』を解剖する (対面で行います。) 第2回 語りの構造―― 構造主義とナラトロジー  書簡 第3回 ジャンルの問題(構造主義)―― 科学と魔術 第1章〜第3章 第4回 道徳的批評と伝記的批評――フランケンシュタインの罪 第4章〜第6章 第5回 ロマン主義と間テクスト性 ―― 超自然性 第7章〜第9章 第6回 言語と教育 ―― 崇高美とヴォルニー 第10章〜第12章  第7回 精神分析批評――不気味なるもの 第13章〜第15章 第8回 フェミニズム批評――空白としての女性たち 第16章〜第18章  第9回 ポスト・コロニアリズム批評―― 他者の問題 第19章〜第21章 第10回 歴史主義・新歴史主義―― 破滅の足音 第22章〜第24章 第11回 怪物を脱構築してみる―― 宙吊りのままの航海  書簡 第12回 批評読解 第13回 解釈学と翻案 ―― 表象された怪物の系譜 
授業の方法
毎回、読解範囲を定めますので、そこを予習してきてください。 また、精読すべき範囲も毎回指示しますので、そこは日本語に翻訳してきてください。 授業ではまず翻訳を通して、原文を丁寧に分析していきます。 次に発表担当者は、読解範囲のあらすじをまとめた上で、全体について簡単な分析を行なってもらいます。 その分析をもとにして履修者全員で議論を展開していきます。
成績評価方法
出席・態度(50%)、発表(25%)、レポート(25%)
教科書
Mary Shelley, Frankenstein, 1818 Text, ed. Nick Groom (Oxford: Oxford UP, 2020) ISBN: 978-0198840824 (1818年版を用いるので、上記以外のテクストを誤って入手しないようにお願いします。)
参考書
廣野由美子『批評理論入門―「フランケンシュタイン」解剖講義』中公新書、2005年。 久守和子/中川僚子編著 『フランケンシュタイン』ミネルヴァ書房、2006年。 それ以外は授業内に指示します。
履修上の注意
英文での原書を丁寧に精読し、翻訳もしていきます。Oxford English Dictionaryを含めて辞書なども丁寧にひいたりしますので、そのつもりでお願いします。 事前にAmazon等でテクストを購入しておいてください。 [Mary Shelley, Frankenstein, 1818 Text, ed. Nick Groom (Oxford: Oxford UP, 2020) ISBN: 978-*****] 履修者は履修登録をすると同時に、授業内の連絡・ファイル共有のために、以下のGoogle Classroomへの登録をお願いします。 https://classroom.google.com/*****
その他
第1回目の授業から対面で行います。