言語態研究演習

マグリスは、エーコやタブッキと並び近年のイタリアにおいてもっとも重要な文学者である。本授業ではマグリスがイタリアのトレッカーニ百科事典のために執筆した『ナラティヴ Narrativa』（1979年）を読む。このテクストは、マグリスがドイツ文学者・批評家として名を馳せていた時期に書かれ、さまざまな作家と作品に言及しながら20世紀の欧米圏における小説の歴史を概観するもので、引用される文学作品はドイツ、フランス、イギリス、ロシア、アメリカ、北欧諸国…と多岐にわたる（僅かだが、日本の作家にも言及がある）。一方で、この数年後に小説を発表する作者が自らの文学論を展開していることも見逃さないようにしたい。本授業の目標は、受講者がそれぞれの関心と専門に合わせてテクストを少しずつ読み、情報と意見を他の受講者と交換し、自らの考えを深めることである。テクストの原文はイタリア語だが、受講者には日本語訳を配布する。