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最終更新日:2024年4月22日

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言語科学特殊講義(1)

言語研究における音声の心的表示/The mental representation of speech sounds in linguistics
 ヒトの脳内には,(i) 音声産出・知覚にかかわる諸範疇とそれらの関係性,および,(ii) 音の配列・交替にかかわる規則が存在する.概括的に (i) を「表示」,(ii) を「派生」と呼び,それぞれについて様々なモデルが考案されてきた.それらすべてにおいて共通している点は,(i) と (ii) の関係である.(i) に (ii) は影響を受けるという点である.仮定される表示(使用する単位や構造)が異なると,その上で働く派生装置の種類も変わる.すなわち,派生過程を規定する規則,原理,制約の種類や数は,説明に用いる表示の種類に大きく左右される.このことから,異なる音韻表示を比較・検討し,言語研究においてもっとも妥当であると思われる表示を明らかにすることは,音韻研究において重要である.
 以上を受け,本講義では,表示の解明に力を注いできた「エレメント理論」と「統率音韻論」で用いられてきた範疇特性と関係特性の同定方法と,それらを用いた音韻分析を学ぶ.その後,極小主義的観点からこれらの理論を融合し,音韻現象の因果関係の直接的明示を目指す「非線形音韻論」の基礎を学ぶ.
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C152801
FAS-CA4G27L1
言語科学特殊講義(1)
那須川 訓也
S1 S2
集中
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
※本授業は集中講義として行われる.授業日については「履修上の注意」を参照. 第1~2週で扱うトピック 音韻現象(動的交替と静的分布) 言語機能における音韻論の位置づけ 音韻表示と派生(単層派生と複層派生) 音韻論で用いられる諸特性(範疇特性と関係特性) 第3~5週で扱うトピック 範疇特性: 音韻的最小単位(素性)の種類・数の同定方法 エレメント理論 (ET) の音韻研究における位置付け ETにおける母音表示 ETにおける子音表示 第6-8週で扱うトピック 関係特性: 音節構造 統率音韻論 (GP) の音韻研究における位置付け 初期GPの特徴 表示の適格性: 認可と統率 表示の音声的具現化・解釈 初期GPから派生した理論(厳密CV理論とGP2.0) 第9-12 週で扱うトピック 因果関係の直接的明示を目指す縮小主義 非時系列音韻論(PfP) PfPにおける音韻構造 第13週 ディスカッション、およびまとめ
授業の方法
上の計画に基づき,講義形式で進める.授業で使用する資料(ハンドアウト)は授業担当者が用意し配布する.参考資料については,授業で随時紹介する.
成績評価方法
評価は,出席や発⾔など授業への積極性,(a) 確認テスト,および (b) レポートを勘案して総合的に⾏なう. (a) 確認テストと (b) レポートについての詳細は,以下の通りである. (a): 授業で学んだ表示を用いて,与えられた音声データを分析してもらう. (b):「エレメントを用いた母音体系と音韻現象の分析」「特定の言語の音節構造の記述とそれを用いた音韻現象の分析」「言語機能における音韻体系の位置づけ」のうち1つのテーマを選び,授業で学んだことの総括を求める予定である.書式などの具体的な指⽰は授業時に⾏う.
教科書
担当者が作成したハンドアウトを配布します。
参考書
Backley, Phillip (2011) An Introduction to Element Theory, Edinburgh: Edinburgh University Press. ISBN 978-0-7486-3743-0 Ewen, Colin J. & Harry van der Hulst (2001). The Phonological Structure of Words: An Introduction, Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 0-521-359147 Harris, John (1994) English Sound Structure, Oxford: Blackwell. ISBN978-0-631-18741-7 Kula, Nancy C., Bert Botma & Kuniya Nasukawa (2013). Bloomsbury Companion to Phonology, London: Bloomsbury. ISBN 978-1-4411-4018-0 Nasukawa, Kuniya (2020). Linearisation and stress assignment in Precedence-free Phonology: The case of English. Radical: A Journal of Phonology 1, 239–291. Nasukawa, Kuniya (2020). Lexicalising phonological structure in morphemes. Acta Linguistica Academica 67(1), 29–38. DOI: 10.1556/2062.2020.00003 他のものについては,授業時に適宜紹介する.
履修上の注意
この授業は⾳韻論の初級・中級講義である.履修希望者は音声にかかわる知識をある程度有していることが望ましいが,関連科目未履修のものでもついて⾏けるよう配慮する. 講義日程は下記の通り. 7/18(木)2-4時間目(3コマ) 7/19(金)2-4時間目(3コマ) 7/20(土)2-4時間目(3コマ) 7/21(日)2-5時間目(4コマ) 計13コマ
その他
特になし.