学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月22日
授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。
日本語学I
日本語文字・表記史の目的論・方法論・資料論
目に見えない思想や意識などを扱うのとは違って、具体的対象である文字・表記を史的研究の俎上に載せるとき、単に現代とは異なる事象を指摘するだけであれば、それは非常に容易い。しかし、それだけでは真に意義有る研究にはならない。そこに「何のためにこれを明らかにしなければならないのか」という目的論に対する突き詰めた思索が伴ってこそ、初めて意味ある研究となる。
また、対象が具象的であるからといって、そのことがただちに研究の客観的正確性を保証してくれる訳では、勿論ない。目に見える対象だからこその落とし穴が存在することもあり、そこにはやはり正しい方法論が必要である。ましてや、表面的な文字現象・表記現象からその時代の文字意識・表記意識にまで迫ろうとするとき、方法への反省は常に必要である。
更に、限られた資料から実態をあぶり出そうとする音声言語史とは対照的に、文字・表記史研究では、研究者の一生というスパンでは扱いきれない膨大な資料群から、有効な資料を探し出す選別眼と、その基礎となる資料論が非常に重要になってくる。
本講義は、文字・表記史研究の先行論文を受講者とともに講読することを通して、上記の目標達成を目指したい。
MIMA Search