英語の単語には複数の意味を持ついわゆる多義語が多く見られる。たとえば、trunkという語を一般の学習辞典で引いてみると、多岐にわたる語義が1(木の)幹、2(人の)胴体、3(旅行用の)トランク、4象の鼻、5(男子の競技用)トランクス、6(乗用車の)トランクなどといったように並んでいる。異なる語義はどのように意味的に繋がっているのだろうか。また、trunkの語源を調べてみると、この語はフランス語からの借用語で、元来は「木の幹」を意味し、「トランク」、「象の鼻」などの意味は後に発達してきたことがわかる。このように、語の多義性は、通時的な意味変化の結果、もとの意味とそこから派生した新たな意味が共存していることによって生じる。本講義では、語の多義性といった共時的問題と意味の変化という通時的問題を考えていきたい。
<授業で扱う予定の主なトピック>
・語の多義性
・意味変化の方向性
・意味変化のタイプ
・意味変化の原因
・機能語の意味変化