学内のオンライン授業の情報漏洩防止のため,URLやアカウント、教室の記載は削除しております。
最終更新日:2024年4月22日
授業計画や教室は変更となる可能性があるため、必ずUTASで最新の情報を確認して下さい。
UTASにアクセスできない方は、担当教員または部局教務へお問い合わせ下さい。
東アジア文化論
中国と日本の「賦」をめぐって―声と漢字と文学と
賦とは中国古代に起こった文学ジャンルで、韻文を基調とするが、詩よりもずっと自由かつ多様である。屈原の名で伝わる楚辞は、賦の起源の一つであるとともに、それ自体賦に含まれることもある。陶淵明「帰去来兮辞」も広義の賦といえる。杜牧「阿房宮賦」や蘇軾「赤壁賦」は、日本でもよく知られた作品である。
日本においても、詩に比べれば少ないとはいえ、漢文学としての賦は作られた。ただ、江戸期の俳文や明治の新体詩にも「賦」と題するものがあり、それらは漢文学の賦との共通点を持ちつつ、当然ながら相違点も指摘できる。このことは、中国語の声の文化を基盤として発生した賦の文学が、その基盤を持たない日本語の環境において、どのように理解されたかを反映している。賦の発生、展開、伝播をめぐる問題を通して、中国と日本におけるそれぞれの声の文化と、その橋渡しをした漢字の関わりについて考える。
MIMA Search