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最終更新日:2026年10月16日
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現代哲学特殊演習III
啓蒙論の現在――近代自己理解のカテゴリーをめぐって①
啓蒙(Enlightenment, Lumières, Aufklärung)は、17~18世紀のヨーロッパに生じた社会的変化を指す概念として、同時代から現代に至るまで使われています。それは、歴史的な一時期を指す〈記述的概念〉であると同時に、その後の社会変化を評価する基準のようなもの、言い換えれば〈規範的概念〉としても機能してきました。
この意味で、啓蒙の概念は「西洋/西欧」とか「近代」が自己自身を理解する際の基本的・不可避的なカテゴリーとなっています(たとえば「西洋/西欧」なら日本を含まないでしょうが、「近代」なら日本も含むでしょう。後者の場合、日本(社会)の自己理解にも関係することになります)。
啓蒙概念そのものの両義性を踏まえつつ、21世紀のヨーロッパにおいても続けられている啓蒙の議論を、ドイツ語で書かれた近年の文献でたどるのが、この授業の目標です。
近代ないし啓蒙については、実にさまざまな観点や立場からさまざまな主張がなされています(例:B・ラトゥール「かつて私たちが近代人であったことは一度もない」)。この授業で取り上げる Georg Cavallar の『啓蒙は破綻したのか?』(2017)は、そうした多様な意見を念頭におきながら、ある意味で「バランスのとれた」記述を目指す著作だといえます。啓蒙に対する懐疑論を正面から受け止める一方、現代を理解する上で啓蒙概念が(なお)果たしうる批判のポテンシャルを見極めようとする姿勢は、日本で人文学にたずさわる私たちにとっても参考になるでしょう。
本書はまた「専門家」向けの個別研究と「一般読者」向け入門書の中間的な立ち位置を意識して書かれています。ヨーロッパ(この場合だとドイツ語圏)の「教養ある」読者層を念頭に執筆されているという点で、人文学の研究者に求められる言語(ドイツ語)使用の水準を知ることもできるでしょう。
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