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最終更新日:2025年4月21日

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倫理宗教論[現代思想コース]

カント『視霊者の夢』精読
イマヌエル・カント(1724-1804)の『視霊者の夢』(1766)は、『純粋理性批判』(第1版 1781)に始まる「批判期」以前の著作でありながら、一方で批判哲学への方向を指し示すものとして、また他方で批判哲学において後景に退いてしまう要素を含むものとして、カントのなかではやや特異ともいえる魅力的なテクストです。

『視霊者の夢(Träume eines Geistersehers)』はタイトルの前半に過ぎず、さらに「形而上学の夢によって説明された(erläutert durch Träume der Metaphysik)」という説明が続きます。「視霊者」と呼ばれているのは、神秘主義者として知られるエマヌエル・スウェーデンボリ(1688-1772)であり、「霊(Geist)」との交信という問題が批判的に論じられます。

「形而上学」という語が指しているのは、のちにカントが「独断論」や「合理主義」として批判することになるライプニッツ・ヴォルフ学派(特にバウムガルテン)の哲学です。そこでは形而上学的体系の要の位置を「精神(Geist)」の概念が占めていました。

「視霊者」と「形而上学」それぞれの「夢」を交差させ、対置する形で批判する、いわば二正面作戦をとったカントの意図ないしストラテジーに着目しつつ、この複雑なテクストを2022年に出た批判版にもとづき、ドイツ語原文で精読していきます。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C1307
FAS-CA4E07L1
倫理宗教論[現代思想コース]
斉藤 渉
A1 A2
未定
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講義使用言語
日本語、ドイツ語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
1.カントの批判哲学と「前批判期」 2.『視霊者の夢』の成立 3-13.テクスト精読
授業の方法
毎回テクスト数ページ分を訳出しつつ、解釈の問題点についてディスカッションするという形式で進めます。
成績評価方法
授業での発表とディスカッションへの参加により評価します。
教科書
Immanuel Kant, Träume eines Geistersehers, erläutert durch Träume der Metaphysik. Historisch-kritische Edition. Mit einer Einleitung und Erläuterungen herausgegeben von Lothar Kreimendahl und Michael Oberhausen. Hamburg: Meiner 2022 [Philosophische Bibliothek Bd. 747] (通常書籍版)ISBN: 978-3787339587 (電子書籍版)ISBN: 978-3787339594 ★ 受講者にはコピーを配布。
参考書
授業中に指示します。
履修上の注意
カントのテクストは、18世紀のものです。今日の標準的言語規範(文法)からすると、イレギュラーな箇所がすくなくありません。こうしたことを踏まえつつ、しっかり時間をかけて予習をおこなってください。 ドイツ語学習歴は問いませんが、文法の基礎はしっかり理解していることを前提に進めます。当然のこととして、名詞等の性・数・格は予習の段階で確認し、文の構造を整理しておくこと。 また、辞書については『独和大辞典』(小学館)の使用を推奨します(電子辞書やアプリでも可)。