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最終更新日:2025年4月21日

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比較文学論II(2)

19世紀フランス文学とエコロジーー科学と自然信仰のあいだ
本授業は講義形式で、19世紀後半のエコロジーの思想を概観する。エミール・ゾラを中心的な対象とはするが、ゾラにとどまらず、哲学者テーヌ、歴史家ミシュレ、地理学者エリゼ・ルクリュ、また印象派のモネやルノワールなども取り上げる。19世紀後半は科学的実証精神が大きく広がり超自然的なものの権威が低下した時代である。この時期、超自然に代わるように自然が注目され、自然と人間との間に新しい関係性が作られる。この関係性は、カトリック国であるフランスにふさわしく、ある種の神話性、宗教性を持つ。21世紀の現在、エコロジーは世界的に大きなテーマとなっているが、それは純粋に合理的目的から地球環境の改善を図ろうとするものではなく、ディープエコロジーをはじめある種の宗教性をも帯びている。科学的な時代に何か信じるものを自然に求める精神の基礎は19世紀後半に築かれたように見える。この時代を振り返りながら、現代についても理解を深めてほしい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C121402
FAS-CA4D18L1
比較文学論II(2)
實谷 総一郎
A1 A2
未定
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講義使用言語
日本語、フランス語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
初回の授業はオンラインで行います。 現状では、以下の内容を予定しておりますが、順番や内容について多少変更が生じる可能性もあります。 1. 導入 2. 実証主義の世界像①ゾラからテーヌへ、スピリチュアリスムと実証主義 3. 実証主義の世界像②ゾラ、初期の思想と美術批評 4. 実証主義の世界像③造形の変革 クールベ、マネ、モネ 5. 実証主義の世界像④ゾラ『テレーズ・ラカン』と『パリの胃袋』における脱人間中心主義 6. 地上の精神性へ①ゾラと自然神話 啓蒙思想から共和主義の自然神話へ 7. 地上の精神性へ②ロマン主義的汎神論から実証的な生命の再魔術化(ユゴー、ミシュレ、ルクリュ) 8. 地上の精神性へ③ゾラ『ムーレ神父のあやまち』と自然の讃歌 9. 第三共和政の自然①実証派道徳論争、「利他主義(Altruisme)」をめぐって 10. 第三共和政の自然②ゾラ『生きる喜び』と自然的道徳の想像世界 11. 第三共和政の自然③深淵としての現実、モネとクレマンソー 12. 第三共和政の自然④ゾラ『豊穣』、『労働』における時間と空間の再定義 13.総括
授業の方法
講義形式の授業です。講義内容をもとにした学期末レポートを提出していただきます。また、授業では毎回、最後にリアクションペーパーを提出いただく予定です。
成績評価方法
平常点(リアクションペーパによる)と学期末レポートによって総合的に評価します。
教科書
プリント、PDFを配布。
参考書
エミール・ゾラ『ムーレ神父のあやまち』2003年 エミール・ゾラ『生きる歓び』2006年 ジュール・ミシュレ『海』1994年
履修上の注意
フランス語の単語が重要になる場面も多少ありますが、フランス語ができなくても理解できるようにいたします。フランス語ができないことで、成績に関して不利にならないように配慮いたします。