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最終更新日:2025年4月21日

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比較文学論II

日米比較児童文学―マーク・トウェインを中心に
明治以降今日まで、日本人がいかなる紆余曲折を経ながらアメリカの国民的作家マーク・トウェインを受容してきたか検討します。特に、日本の文学的・文化的伝統や同時代の日本の社会状況を反映して創造された日本版のトウェイン作品を原作と比較検討していくことで、主に日本の児童文学・文化の功罪を明らかにしたいと思います。具体的には、山縣五十雄、巌谷小波、佐々木邦、鈴木三重吉、千葉省三、大佛次郎、大江健三郎といった文人たちへのトウェイン文学の波動を吟味します。英米文学に特に関心の無い受講生も、国境を越えた影響関係の検討を中心とする伝統的な比較文学研究のケース・スタディとして本講義を受講することも十分可能です。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C1214
FAS-CA4D18L1
比較文学論II
石原 剛
S1 S2
火曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
1)オリエンテーション(本講義の目的と概要) 本講義の目的と概要、課題や評価について説明 2)日本人とトウェイン(序)-マーク・トウェイン文学の概要紹介 3)明治期の日本とマーク・トウェイン(1)-日本初のトウェイン翻訳と山縣五十雄 4)明治期の日本とマーク・トウェイン(2)-明治期の日本版『王子と乞食』について 5)日本初の『ハックルベリー・フィン』訳(1) 佐々木邦訳『ハック・フィン』における語りの軽視と感傷性の強調 6)日本初の『ハックルベリー・フィン』訳(2) 佐々木邦訳『ハック・フィン』における批判精神の弱体化とアイロニーの消滅 7)大正期児童文学とトウェイン(1)-鈴木三重吉の「乞食の王子」を中心に 8)大正期児童文学とトウェイン(2)-千葉省三の『童話』を中心に 9)戦時下の日本におけるトウェイン―大仏次郎の日本版『王子と乞食』を中心に 10)占領下の日本におけるトウェイン(1) アメリカの占領と日本児童文学、『トム・ソーヤ』と『ハック・フィン』の検閲とお上品化 11)占領下の日本におけるトウェイン(2)    戦災孤児とアメリカ化の問題。民主化のヒーローとしての『ハック・フィン』 12)戦後日本の教科書におけるトウェイン―日米の国語教科書における『ハック・フィン』他 13)まとめ
授業の方法
 講義形式。受講生の数にもよりますが、毎回授業に対する500~800字程度の短いリアクションペーパーを書いてもらうことを考えています。課題ではありませんが、翻訳でも構いませんので『ハックルベリー・フィンの冒険』『トム・ソーヤーの冒険』『王子と乞食』の3作品またそのいずれかを読んでおくと、講義で示す見取り図に受講生独自の色を塗ることができるでしょう。尚、学期末にトウェイン作品の複数の翻訳を比較検討するペーパーを提出してもらう予定です。  アメリカ文学を扱いますので当然、英語の原文を仔細に検討することが多々ありますが、教員が逐一解説をしていくので特に高度な英語能力は必要ありません。影響関係を中心とした比較文学研究の具体的な事例を示すことが目的の一つです。従って、特に英米文学を専門としなくても受講可能です。講義形式になりますので、ディスカッションを期待している方には向きませんが、受講生の反応はリアクションペーパーで把握し、毎回、面白いものは授業の冒頭で紹介したいと思います。
成績評価方法
リアクションペーパー、学期末ペーパーなどを総合して判断します。
教科書
特にありません。
参考書
特にありません。
履修上の注意
第1回目の授業のみオンラインで実施します。Zoom URLは以下をご覧下さい。