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最終更新日:2025年4月21日

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芸術作品分析法IV

芸術作品としての楽器演奏の可能性 Exploring the possibilities of instrumental performance as a work of art
楽器の演奏は、人類の長い歴史の中で絶えることなく、世界の至る所で行なわれてきました。芸術作品と称されるような演奏は、そのごく一部でしかありませんが、楽器演奏が、知力、身体、精神を要する非常に高度な行為であることに変わりありません。
この授業では、日本でのヴァイオリンの受容史を学びます。対象とする時期は近世から明治期で、豊富な図像史料と文字史料を用いて、ヴァイオリン演奏の様相の移り変わりを辿ります。
各受講生は自身の関心に沿って楽器演奏にまつわる事象について調査、考察します。この学びを通して、人と音楽との関わりあいの多様な在り方について知り、視野を広げることを目指します。
それと並行して、受講生自らがヴァイオリン(或いはそれ以外の楽器)の実技の実習に取り組みます。楽器を実際に演奏してみると、知識がより深化するのは勿論ですし、この実習が、音楽に限らない様々な分野に通用するような創造力を高めるきっかけになることを期待しています。ヴァイオリン実技実習については、初心者から上級者まで幅広く受け入れます。

Playing musical instruments has been practiced throughout the world in the long history of mankind. Although only a small portion of these performances are called works of art, there is no doubt that playing musical instruments is still an extremely sophisticated activity that requires intellectual, physical, and spiritual power.
In this class, students will study the history of the reception of the violin from early modern period to the Meiji period. We will trace the changing aspects of violin playing using a wealth of iconographic and textual historical documents.
Each student will research and discuss events related to playing musical instruments according to his or her own interests. Through this study, students will broaden their perspectives on the diversity of the relationship between human and music.
At the same time, students will engage in practical training on the violin (or other instruments). I hope that this practical training will help them to deepen their knowledge and enhance their creativity, which is applicable not only to music but also to various other fields. As for the violin practical training, I accept a wide range of students from beginners to advanced.
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C1212
FAS-CA4D16S1
芸術作品分析法IV
梶野 絵奈
A1 A2
月曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
YES
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
毎回の授業の前半を講義もしくは学生発表、(初回を除く)最後の20分から30分はヴァイオリンの実習(実技レッスン)の時間に充てます。講義の回数は、履修生の人数によって調整しますが、大体以下のような内容で行う予定です。 初回:担当教師の紹介とガイダンスほか 2回目:イタリアでのヴァイオリンの誕生と日本への到来 3回目:長崎•出島でのヴァイオリン演奏の記録ーーオランダ商館長日記より 4回目:ヴァイオリンを弾く「黒坊」のルーツを探る 5回目:幕末日本に来た外国船と漂流日本人の記録 6回目:日本で演奏した最初のプロヴァイオリニスト「セニョール・ロビオ」の太平洋ツアー 7回目:横浜居留区の洋楽のにぎわい 8回目以降:学生発表 最終回:発表会を予定
授業の方法
講義、学生発表、ディスカッション、ヴァイオリン(もしくはその他の楽器を用いた)実習など。 ヴァイオリン実習については、初心者と、中上級者の2つに分けて行います。初心者は初歩の技術から学びます。中上級者は任意の室内楽作品について、共演者と共に作品について研究し理解を深めながら、演奏を作り上げていってもらいます。 ヴァイオリン以外の楽器での参加も可能です。その場合は、最初の授業で教師と打ち合わせて、習熟度に合わせて、いずれかのグループに振り分けて参加できるようにします(例えばヴィオラ、チェロや管楽器の中上級者は、室内楽作品の演奏を割り当てます。ピアノやそれ以外の楽器での参加も可能です)。あらかじめ室内楽のグループを作って履修することも可能です。
成績評価方法
出席状況、授業への貢献度、課題、学生発表などを総合的に判断します。楽器演奏の実技については、演奏レベルは評価の対象としません。但し、楽器演奏実習の取り組み方については成績評価の判断に含める場合があります。 尚、本授業は講義や発表と、実習を1コマの中で行うことから、非常に効率よく運営する必要があります。遅刻は授業の運行の妨げとなり、他の学生に不利益をもたらすことから、評価に反映させることを前提としています。
教科書
ヴァイオリン実習の初心者:指定教則本として、大日本家庭音楽会から大正時代に出版された通信教育の教材「ヴァイオリン講義録」を考えていますが、その他の教則本にする可能性もあります。
参考書
梶野絵奈『日本のヴァイオリン史 楽器の誕生から明治維新まで』(青弓社、2022年)
履修上の注意
ヴァイオリン実習の参加については、楽器(本体・弓)・ケースや必要な備品(肩当て・松脂など)の用意は各自が行うものとします。楽器を所有していない場合、購入以外にもレンタル(月に数千円。業者によって異なる)の方法もあります。 ※ヴァイオリン実習は2回目の授業に開始します。この時に、整備が済んだ状態の楽器を持参してくる必要があります。自前、レンタルいずれの場合もお気をつけください。※8月下旬までに楽器準備にかんする注意点を、こちらに記載します。参加希望者は全員、必ず読むようにしてください。 なお実技を伴う授業の性質上、受講希望者が多い場合は何らかの形で人数制限をする可能性があります。 〜〜以下8月16日加筆〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ヴァイオリン実習に際して揃えるもの 1.ヴァイオリン本体・弓・ケース: (子供用の「分数サイズ」の楽器ではなく)大人用の「フルサイズ」の楽器・弓を準備してください。 2.松脂:様々なメーカーから色々な種類の松脂が売り出されています。初心者定番は【Bernardel】や【Millant】(いずれも2000円台前後)です。ライトとダークの2種があるものもありますが、どちらでも構いません。 3.チューナー: もしかしたら携帯のアプリでいいかもしれません。 4.楽器を拭くクロス: 楽器専用でなくても、100均のマイクロファイバーのメガネ拭きを使うのでも問題ありません。 5.肩当て: 肩当てはいろいろなシェイプのものがあります。定番【KUN Original】や【KUN Collapsible】(後者は首が長い人には向かない)あたりは、比較的安い部類で、使い心地の面でも万人向けの製品です。お店によっては、試しに装着させてくれるところもあります。 6.譜面台: 学校の備品に譜面台がないようです。1500円くらいからあるようです。軽いと携行の便がいい、重さがあると安定感がある。 •クロス以外は中古でも構いません。ただし、楽器と弓は整備を済ませておいてください。 •自宅での練習で騒音が問題になる可能性がある方は、練習用ミュートの購入をすすめます。詳しくは最初の授業の時に。 レンタル楽器の調達・・・レンタル楽器に普段かかわっていないので、あまりよいアドバイスができません。 •ヤマハでレンタルがあるようです。https://rental.jp.yamaha.com/*****  •昨年の履修生が使った業者さん。まずまずでした。https://www.l-flat.co.jp/***** 購入の場合 •ヴァイオリンはある程度お値段もしますし、また知識のない販売員がいたり、悪徳業者も少なからずいます。お店で話を聞いて不安になった時は、無理せずに、その日は買うのをやめましょう。 •知り合いの楽器屋さんを紹介することはできます(去年の時点で、調整済み本体とケースと弓のセットで4万円から。今年は少し値上がりしたかもしれません)。紹介希望者は以下の私のメアドにメールをください。 しばらく眠っていた楽器を使う場合・・・しばらく眠っていた楽器は、整備(弦の張り替え、弓毛の交換etc.)が必須です。 •弦楽器専門店に持っていって、授業で習うことになったから弾けるようにしてほしい、と言ってみてください。 •修理が必要と言われる場合(楽器のひび割れ等)があります。修理の内容や値段を確かめましょう。それを聞いて、お願いするのが良いのかどうか自分では判断つかない、不安に感じた場合は、遠慮なく連絡してください。程度問題ですが、あまりにお金がかかりそうだったら、購入かレンタルの方が良いかもしれません。 •整備してくれるお店を紹介して欲しい人は、メールでご連絡ください。
その他
「講義の目標、概要」欄に記した目標達成のために、幅広い専攻分野から履修生が集まることを期待しています。 五線譜を読めない人や、まったくのヴァイオリン初心者も歓迎します。 ただし、実習の成果を出すには、日々の練習が必須です。履修に際しては、毎週必ず練習してくることが条件です。また中上級者は、授業時間以外に自主的にリハーサルを行うのが望ましいです。
実務経験と授業科目の関連性
教員は、オーストリア国立モーツァルテウム大学大学院器楽学科修士課程修了、プロの現役のヴァイオリニストで 国内外での演奏・指導経験があります。主宰する教室からはジュニアコンクール受賞者も輩出しています。このような実務経験を活かして、ヴァイオリン実習を行います。