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最終更新日:2024年3月15日

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舞台芸術論I

経験の上演3:「影響」の流出史[パノラマ]
日本語で「影響」という訳をあてがわれている「Influence」という言葉は、それとして知覚されず、効果から事後的にのみ見出され、論理/物理的な分節化を拒む作用を一言で片付ける便利な概念として多用されてきました。たとえば人間には感知できない原理による病いの爆発的流行を名指すために(influenza)、あるいはアルコールやドラッグの効果による精神の酩酊状態を形容するために(under the influence)、またはインターネット上の情報発信によって不特定多数の振る舞いを遠隔操作する新種の職業として(influencer)。しかし、学術的な文献にまで蔓延するその中毒的な濫用を自覚している人は少なく、その来歴を知る人はさらに少ないでしょう。その意味で「影響」とはきわめてオカルト的な術語ですが、それは当然のことかもしれません。なぜなら、この言葉の語源をたどるとまず行き着くのはルネサンス期(アーリー・モダン)に復興した古代の占星術と神秘思想/魔術であり、そこでは人間には知覚できない作用関係のことが「流れ出る」という意味のラテン語を用いて「influentia」と呼ばれ、その見えない作用の次元が「隠れている」という意味のラテン語を用いて「occult」と呼ばれていたからです。

この授業では、明確な対象化を拒むことで今日に至るまで強力な影響を及ぼし続けている「影響/influence」という概念の隠れた流出史の発掘作業を行ないます。もっと正確に言えば、ここ2年ほどの発掘作業で分かってきた流れを経過報告的な見取り図として、ある程度太い筆で描かれたパノラマか紙芝居のように、大雑把に提示する予定です。その道のりで、とくに因果論とパフォーマンスの諸問題に注意を払うことによって、歴史の発掘と語りの作業自体に絡みつく影響の力学を舞台の縁に浮かび上がらせることができるといいです。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C1109
FAS-CA4C09L1
舞台芸術論I
中井 悠
S1 S2
金曜4限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
1 オリエンテーション 2 因果の転倒:フィチーノ/ヘルメス文書/占星術・魔術 3 因果の転倒:ネオプラトニズム/アリストテレス主義/イスラム世界 4 ディスカッション1 5 ヴァーチャルな効果:磁力・電力・重力/パフォーマンス 6 ヴァーチャルな効果:錬金術/ニュートン/異星人 7 ディスカッション2 8 内は外:メスメリズム/動物磁気/想像力 9 内は外:心霊主義/心理学/模倣プロセス 10 ディスカッション3 11 予測と制御:行動主義/広告/サイバネティクス 12 予測と制御:インフルエンサー/機械学習/生理学モデル 13 ディスカッション4
授業の方法
教員による二回の講義と受講生からのレスポンスをもとにしたディスカッションの回を交互に行ないます。
成績評価方法
レスポンスの提出、ディスカッションへの参加、出席をもとにした自己採点を基本とします。
教科書
すべてPDFで配布します。
参考書
すべてPDFで配布します。
履修上の注意
レスポンスの提出、ディスカッションへの参加と出席を条件に聴講も認めます。