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最終更新日:2025年4月21日

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文化人類学特殊講義(クィア人類学)

クィア人類学の過去・現在・未来 The Past, Present and Future of Queer Anthropology
本授業では、近年発表された性的少数者の日本における経験について書かれた民族誌的研究を渉猟しながら、そこで何が問題となり、どのような研究の可能性が拓けるのかについて議論する。その際、文化人類学のみならず、社会学、歴史学、文学などの近隣領域で行われている研究もあわせて検討する。特に、性的少数者の民族誌的研究で議論の中心となっている概念の一つが「コミュニティ」である。この「コミュニティ」の概念は、アイデンティティ、実践、語りなどの研究を通して長年議論の中心となってきた。しかしこの概念をめぐっては、性的少数者についての研究において肯定的・否定的な意見が混在している。では、なぜこの「コミュニティ」概念が様々な議論を引き起こしているのか。その背景には何があるのか。この点にも着目しながら議論していく。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
08C102322
FAS-CA4B22L1
文化人類学特殊講義(クィア人類学)
新ヶ江 章友
A1 A2
未定
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
教養学部
授業計画
第1回:オリエンテーション 第2回〜第4回:文献講読① 第5回〜第7回:文献講読② 第8回〜第10回:文献講読③ 第11回〜第13回:学生による研究発表
授業の方法
文献・論文講読、学生の発表を織り交ぜながら実施します。
成績評価方法
・講義での積極的な発言や発表50% ・レポート50%
教科書
以下の文献から数冊を選んで読む予定です。できれば事前に目を通しておいてください。 森山至貴(2012)『「ゲイコミュニティ」の社会学』勁草書房。 新ヶ江章友(2013)『日本の「ゲイ」とエイズーコミュニティ・国家・アイデンティティ』青弓社。 三部倫子(2014)『カムアウトする親子ー同性愛と家族の社会学』御茶ノ水書房。 砂川秀樹(2015)『新宿二丁目の文化人類学ーゲイ・コミュニティから都市をまなざす』太郎次郎社エディタス。 石井由香理(2018)『トランスジェンダーと現代社会ー多様化する性とあいまいな自己像をもつ人たちの生活世界』明石書店。 Baudinette, Thomas(2021)Regimes of Desire: Young Gay Men, Media, and Masculinity in Tokyo. University of Michigan Press. 杉浦郁子・前川直哉(2022)『「地方」と性的マイノリティー東北6県のインタビューから』青弓社。 大島岳(2024)『HIVとともに生きるー傷つきとレジリエンスのライフヒストリー研究』青弓社。 武内今日子(2025)『非二元的な性を生きる―性的マイノリティのカテゴリー運用史』明石書店。 その他、2025年に新たに出版予定の書籍もありますので、それらの本についても議論できればと考えています。
参考書
関連文献については、第1回の授業で提示する。 新ヶ江章友(2022)『クィア・アクティビズムーはじめて学ぶ<クィア・スタディーズ>のために』花伝社。 クィア人類学に関する研究は、以下のレビュー論文が参考になる。 Weiss, Margot, ed. (2024) Unsettling Queer Anthropology: Foundations, Reorientations, and Departures. Duke University Press. Boellstorff, Tom (2007) “Queer Studies in the House of Anthropology,” Annual Review of Anthropology 36: 1–19. Weston, Kath (1993) "Lesbian/Gay Studies in the House of Anthropology," Annual Review of Anthropology 22:339–367.
履修上の注意
クィア人類学は、異性愛規範や性別二元論がどのような権力関係の中で構築されていくのかを、民族誌的アプローチから批判的に明らかにしていく研究です。これは同時に、非規範的な性を生きる人々がどのような経験を形作っているかを明らかにすることでもあります。これまでどのような民族誌的研究が行われてきたのかを概観するには、上記の参考書にあげたWeston(1993), Boellstorff(2007), Weiss(2024)の論文が参考になりますので、興味のある人は目を通してください。
その他
授業は集中講義です。実施時期は2026年2月か3月の予定です。そのため、授業の前までにできるだけ教科書に記載している文献を、各自で読んでおいてください。授業では、一つの文献につき内容を要約したものを、履修している学生のどなたかに発表してもらう予定です。自分の興味がある文献一冊(以上)の内容のポイント(特に「コミュニティ」との関係から)を、レジュメとして事前に準備しておいていただけるとありがたいです。その他にも、議論したいポイントがあれば提示してください。