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最終更新日:2024年4月22日
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応用人類学I
ランドスケープ-文化、アート、テクノロジー
ランドスケープは、近年のRoutledge社 の浩瀚なLandscape Studies というハンドブックに代表されるような、学際的な研究分野で、文理にまたがった多くの議論が存在する。その中には建築学や都市工学、庭園学といった理工学系諸分野のみならず、人文系諸科学(歴史学、社会学、人類学、人文地理学、政策学等)、さらには様々なアート関係の分野がふくまれ、自然、社会/文化、アートの複雑な絡み合いに関心がある人にはもってこいの分野である。
このランドスケープという概念は、従来「景観」と訳されることが多く、基本的に環境がもつ審美的な側面に関心が限定されてきた。また”Land”-scapeという部分に代表されるように、農村的なもの、というニュアンスが英語にも残っている。しかし近年の議論では、「地域社会の法的、慣習的な仕組み」という意味の原語が、風景画の流行から美術化され、美としての環境(庭園)という形で、法とアートが複雑に交錯してきたとされる。更に近年では、都市のテクノロジー的環境を都市のランドスケープとして再考する、いわゆるLandscape urbanism という潮流も存在し、都市のテクノロジー・インフラがもつ審美的可能性が議論されている。テクノスケープといった新たな観点も興味深い。
このようにランドスケープを巡る議論は、法(地域社会)、アート(風景画)、自然(農村)、テクノロジー(都市インフラ)といった諸側面が複雑に交錯する分野であり、近年の景観論争(例えば無電柱化論争)に代表されるように、政策的イシューともなりうる。本演習では、こうした諸要素の絡み合いを、特にSTS(科学技術社会学)、社会・人類学、歴史学、アート研究といった視点を交差させ、その代表的な論点にかかわる本、論文を講読し議論するものである。
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