中東で誕生した宗教であるキリスト教とその思想は主にギリシア語とラテン語を介して世界に広まっていったが、中東およびその周辺にはギリシア語、ラテン語ではなくシリア語、コプト語、アルメニア語、エチオピア語、アラビア語等を媒体として広まっていったキリスト教がある。中でもその時間的、空間的な広がり(西は地中海沿岸から東はインド、中国まで)において最も重要なのはシリア語を媒体とするキリスト教であり、キリスト教の発展の正確な理解にはシリア語文献の研究が欠かせない。また、シリア語およびシリア系キリスト教徒はギリシア哲学・科学のイスラム圏への伝達にも大きな役割を果たしており、哲学史、科学史の分野でもシリア語文献の研究が重要となる。本講ではシリア語が用いられた世界の歴史と文化について概観するとともに、シリア語文献の講読に必要な知識を習得し、受講者の関心に合わせて選んだ文献の講読を試みる。
授業の進行はおおむね教科書の章立てに従うが、教員の提供する補足資料を部分的に使用する。