特にありません。Hänsel und Gretel を読み、その都度問題になるドイツ語表現を文法や語法という観点から分析します。
例えば、
Ich habe ihn heute wieder gesehen.
Ich habe ihn heute wiedergesehen.
の発音上の違いや意味の違いが分かりますか。ドイツ語では一見似たような表現でも意味が異なることが多々あります。
あるいは日本語の「行く」に相当するドイツ語は、sein, gehen, fahren 等々色々ありますが、意味の違いや語法が分かりますか。
A: Anfang Oktober gehe ich nach Deutschland nach Berlin.
B: Wie lange?
これは実際にあった会話ですが、この会話について説明できますか。A の言葉にある gehen はどういう意味であり、それを受けて何故 B の Wie lange? という疑問文がでてくるのでしょうか。語彙と文法という観点から言えば、この会話は初歩に属しますが、何故このような会話が成り立ちうるのかどれだけの方が説明できるでしょうか。言葉は一見簡単なようでも奥が深いことがあります。ドイツ語の森の中で少しでも sich orientieren できるようにするのがこの授業の目的です。
またこの授業では前置詞と前置詞を分離の前綴りとする分離動詞の基本を理解することを目標とします。例えば
He ate up a big beef steak.
この文章の目的語を代名詞に置き換えると
He ate it up.
となり、これは以下のドイツ語の文章と語順が同じです。
Er aß einen großen Rinderbraten auf.
基になっている文章は
He ate it. も
Er aß einen großen Rinderbraten.
も完結した意味をもつ文章です。この文章にそれぞれ up や auf が文末に付け加わるとどうして「食べる」という意味から「残らず食べる、平らげる」という意味に変化するのでしょうか。それぞれ up や auf はどういう意味と機能を持っているのでしょうか。こうした問いに答えることができるようにすることもこの授業の狙いです。