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最終更新日:2024年4月22日

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現代資本主義論Ⅱ

現代資本主義論Ⅱ
①現代の資本主義経済の特徴を、歴史的な発展段階を踏まえて講義する。「現代資本主義論Ⅰ」では流通論(商品・貨幣・資本)と生産論(生産・労働)の分野を取り扱う。
②資本主義世界は、19世紀末から企業の巨大化を契機に組織化の時代が始まり、2つの世界大戦を経て福祉国家に代表される組織的な資本主義が成立した。その後、1980年代頃から新自由主義的に変化している。そこでは政府や企業などの内部を構成する非市場的な組織的形態を分解し、資本のロジックの下で市場的な関係に変える。こうして資本主義的な統治の規律付けが、経済社会全体へと広がっていくのが現代資本主義の特徴である。
 主な特徴として、知識の領域における私的所有権の拡大、小売商業資本の大規模化による商業機構と生産システムのフレキシブルな再編、金融市場の拡大、さらに環境や福祉などの社会的な要素も金融取引に包括する社会の金融化Financializationなどがある。こうした変化は市場の発展とともに、資本主義内部の不安定化要因を増加させる。また、このような大きな変化は会計制度の変化に集約して表現される。
③資本主義の理解のために経済原論(マルクス経済学原理論)の内容を含むが、とくに前提知識は必要としない。近年、経済原論では、個別経済主体の利得を求める行動の相互作用によって貨幣や労働組織などの制度の発生を説く「行動論的アプローチ」や、そうした制度の複数のタイプへの変容を説く「変容論的アプローチ」が発展している。講義ではこうした新しいアプローチも取り入れて、資本主義経済の原理と発展段階論のトータルな把握を示す。
④授業では基本的な講義内容の他にも、プライベート・ブランドやクラウド・ファンディング、MMT(現代貨幣理論)、社会の金融化としてのESG投資などのトピックにもふれる。さらに、各回の課題で受講生が自分で身近な例から理論を応用して現代資本主義の特徴を考察する機会を設ける。なお、講義全体としては取り扱う範囲は広くなるが、自分の関心にそって特定のテーマを深く探求するとよいだろう。
 A2の授業では初めに利潤の認識や信用貨幣の理解に苦労するかもしれないが、そこを乗り越えれば、その後の商業などの範囲はわかりやすいものになるだろう。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0704117
FEC-AS4801L1
現代資本主義論Ⅱ
岩田 佳久
S2
金曜4限、金曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
経済学部
授業計画
(1) 概説、資本主義の現代的変化の基本 (2) 利潤と資本の認識と測定の変化 (3) 超過利潤 (4) 知識の占有:知的所有権 (5) 市場機構の体系 (6) 資本による信用貨幣の創出:信用創造 (7) 信用貨幣システムの歴史的展開 (8) 信用・金融システムの歴史的変化 (9) 商業資本論と商業経済論 (10) 産業資本による商業機構の組織化 (11) 小売商業資本の大規模化による再編成 (12) 金融化Financialization
授業の方法
毎回授業プリントはLMSに掲載する。授業の復習のためにレポート課題を課す。提出方法などは授業で指示する。
成績評価方法
毎回の課題による。その他、積極的な授業参加も考慮する。
教科書
なし。毎回の授業資料を用意する。
参考書
とくに授業に関連するものでは、小幡道昭『経済原論―基礎と演習』、武田隆二『会計学一般教程:第7版』、岩崎勇『IFRSの概念フレームワーク』、吉田暁『決済システムと銀行・中央銀行』、矢作敏行『コマースの興亡史:商業倫理・流通革命・デジタル破壊』。岩田佳久「変容論的アプローチ」の適用:段階論と現代資本主義論のための原理論の「開口部」についての体系的な考察」https://researchmap.jp/***** 他は随時、指示する。
履修上の注意
「現代資本主義論Ⅰ」の履修を前提とする。「経済原論Ⅰ、Ⅱ」の履修が望ましい。
その他
過去の授業資料や授業で取り上げるトピックのいくつかについては以下のサイトを参照 https://moderncapitalismandprinciple.blogspot.com/*****