最初に、日本経済の諸問題を明らかにすることによって、他の先進国への教訓を導くのに役立つような一般的知見を獲得することができることを確認する。日本経済の歴史的発展を江戸時代の末まで遡って概観した後、戦後日本経済の発展・成長を、マクロ経済学的なアプローチを用いてとらえる。このマクロ的分析を補完する形で、日本経済の一見ユニークに見える諸経済制度を展望し、それらが高度成長期からバブル経済を経て長期的停滞へと日本経済が移行した中で、どのように変わってきたのかを考察する。最後に、すべての分析を総括して応用する形で、日本の失われた30年とも呼ばれる長期停滞の要因を解明し、他国への教訓を考える。
1 概観
2 日本経済の歴史的発展
3 景気循環と景気判断、潜在成長率とGDPギャップ
4 人口と労働市場
5 インフレとデフレ
6 家計行動(消費・貯蓄、住宅投資)、世帯構造、所得と資産
7 企業行動と産業構造
8 金融システムと金融・資本市場
9 金融政策の変遷、物価安定目標、非伝統的金融政策手段
10 財政の変遷、財政の持続可能性と財政ルール
11 社会保障をめぐる諸課題
12 国際貿易の変遷と直面する諸課題
13 国際金融と基軸通貨、為替制度と金融政策、円の過去と現在
14 国際環境の激変と日本経済の今後