最初に、日本経済の諸問題を明らかにすることによって他先進国への教訓を導くのに役立つような一般的知見を獲得することができる、ということを確認する。日本経済の歴史的発展を江戸時代の末まで遡って概観した後、戦後日本経済の発展・成長を、マクロ経済学的なアプローチを用いてとらえる。このマクロ的分析を補完する形で、日本経済の一見ユニークに見える諸経済制度を展望し、それらが高度成長期からバブル経済を経て長期的停滞へと日本経済が移行した中で、どのように変わってきたのかを考察する。最後に、すべての分析を総括して応用する形で、日本の失われた20年とも呼ばれる長期停滞の要因を解明し、他国への教訓を考える。