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最終更新日:2024年10月18日

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現代資本主義論Ⅰ

現代資本主義論Ⅰ
①現代の資本主義経済の特徴を、歴史的な発展段階を踏まえて講義する。「現代資本主義論Ⅰ」では流通論(商品・貨幣・資本)と生産論(生産・労働)の分野を取り扱う。
②資本主義世界は、19世紀末から企業の巨大化を契機に組織化の時代が始まり、2つの世界大戦を経て福祉国家に代表される組織的な資本主義が成立した。その後、1980年代頃から新自由主義的に変化している。そこでは政府や企業などの内部を構成する非市場的な組織的形態を分解し、資本のロジックの下で市場的な関係に変える。こうして資本主義的な統治の規律付けが、経済社会全体へと広がっていくのが現代資本主義の特徴である。
 主な特徴として、労働組織の分割と雇用の流動化、福祉の市場化、知識の領域での私的所有と商品化の拡大などがある。こうした変化は経済社会の内部における市場化を深化させる。
③資本主義の理解のために経済原論(マルクス経済学原理論)の内容を含むが、とくに前提知識は必要としない。近年、経済原論では、個別経済主体の利得を求める行動の相互作用によって貨幣や労働組織などの制度の発生を説く「行動論的アプローチ」や、そうした制度の複数のタイプへの変容を説く「変容論的アプローチ」が発展している。講義ではこうした新しいアプローチも取り入れて、資本主義経済の原理と発展段階論のトータルな把握を示す。
④授業では基本的な講義内容の他に、感情労働や労働移転、ジョブ型雇用、「準市場」やベーシックインカムなどのトピックにもふれる。さらに、各回の課題で受講生が自分で身近な例から理論を応用して現代資本主義の特徴を考察する機会を設ける。なお、講義全体としては取り扱う範囲は広くなるが、自分の関心にそって特定のテーマを深く探求するとよいだろう。
 A1の授業では初めに私的所有と貨幣の理解に苦労するかもしれないが、そこを乗り越えれば、その後の労働と福祉国家の範囲はわかりやすいものになるだろう。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0702104-01
FEC-AS4202L1
現代資本主義論Ⅰ
岩田 佳久
S1
金曜4限、金曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
経済学部
授業計画
(1) 概説 (2) 市場経済と資本主義の基本的特徴 (3) 資本主義の発展段階と新自由主義 (4) 私的所有と商品化の拡大 (5) 信用貨幣 (6) 資本の概念 (7) まとめ1 (8) 生産と労働 (9) 労働組織の分割・細分化 (10) 賃金制度と労働市場:ネオリベラルな再編 (11) まとめ2 (12) 福祉国家の形成と発展 (13) 福祉国家と新自由主義 (14) まとめ3
授業の方法
毎回授業プリントはLMSに掲載する。授業の復習のために基本的に毎回、課題を課す。提出方法などは授業で指示する。
成績評価方法
学期末定期試験60%、毎回の課題40%の総合評価による。毎回の課題は学期末定期試験につながるものである。その他、積極的な授業参加も考慮する。
教科書
なし。毎回の授業資料を用意する。
参考書
とくに授業に関連するものでは、小幡道昭『経済原論―基礎と演習』、吉田暁『決済システムと銀行・中央銀行』、圷洋一『福祉国家』(法律文化社、2012年)、『ミシェル・フーコー講義集成〈8〉生政治の誕生』、岩田佳久「変容論的アプローチ」の適用:段階論と現代資本主義論のための原理論の「開口部」についての体系的な考察」https://researchmap.jp/*****、一般的な知識としては、西部忠『資本主義はどこへ向かうのか:内部化する市場と自由投資主義』、正村俊之『変貌する資本主義と現代社会:貨幣・神・情報』。 他は随時、指示する。
履修上の注意
継続して「現代資本主義論Ⅱ」を履修することが望ましい。「経済原論Ⅰ」の履修が望ましい。
その他
過去の授業資料や授業で取り上げるトピックのいくつかについては以下のサイトを参照 https://moderncapitalismandprinciple.blogspot.com/*****