本授業では、西洋近代において狭義の経済学が成立するまでのさまざまな経済思想・経済理論についても造形を深める。政治思想史や法思想史といった隣接分野と同じように、古典古代(古代ギリシア・ローマ世界)における政治経済思想の伝統が、ルネサンス以降の近代ヨーロッパにおける経済認識の展開にとってどのような意義を果たしたのかにも触れ、そうしたなかからアダム・スミスらによって古典派経済学がいかにして誕生したのかを歴史的に理解することを重視する。したがって、古代・中世にも一定の時間を割きつつ、近代については限界革命にいたる時期を重点的に扱うが、終盤では限界革命以降の経済学の発展、新古典派、ケインズ経済学、現代経済学についても扱う予定である。また最初の数回はイントロダクションとして、いきなり経済学の歴史を古代から順に概観していくのではなく、経済学史・経済思想史を学ぶことが現代社会における生活や実践活動においていかに有益であるかという点にかんして、講師の経営者としての経験も交えながら講義する。