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最終更新日:2025年4月21日

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ミクロ経済学Ⅰ

ようこそ経済分析の世界へ!!

経済学は、「文科系」の学問にしては珍しく、少数の基本原理で構成された基礎理論がまずあって、それから多彩な応用が生み出されるという、たいへん体系だった構造を持っています。本講義で学ぶ「ミクロ経済学」は、その中でも一番の核となる部分にあたり、マクロ経済学、ファイナンス、財政、国際経済学、開発経済、産業組織など、これから履修する多くの科目を理解するために必要不可欠な分析道具を提供するものです。具体的には、企業や消費者がどのように行動し、またそれらがお互いにぶつかり合うとどのような結果をもたらすのかを解明し、その結果の良し悪しを評価するための分析手法を学習します。

みなさんがこれまで「社会科」の勉強で出会ったのは、「日本の主要な輸出品は○○だ」などの「実務に役立つ知識」や、社会問題に対するさまざまな意見(「社会思想家××の考え方」など)ではなかったでしょうか。もちろんこうした知識を吸収するのは大切ですが、経済学はこれらと並んで「複雑な経済現象の背後には、一貫して流れている法則がある」ことを明らかにすることを重要な任務としています。「そんなもの、ほんとにあるのかな?」と思うかもしれませんが、「ありますよ!」というのが、ミクロ経済学の立場です。

大学ではじめて出会う「ワンランク上の社会科」で学ぶこととは、「実務に役立つ知識」や「社会問題に対するさまざまな意見」をたんに暗記するだけの段階を卒業して、社会の動きの背後にあるメカニズムを理論的に解明することなのです。ミクロ経済学は、社会科学の中でもこれに最も成功した分野です。この講義でみなさんが得るものは、「実務に役立つ知識」や「社会問題に対するさまざまな意見」の暗記ではなく、自ら習得した理論的な分析道具を使って「自分の頭で社会問題を考える」力を身に着けることです。

なお、本講義は、1年生向けの経済学と大学院のミクロ経済学の中間にあたる「中級ミクロ経済学」であり、なかでも微積分を使うものである。これは、欧米の Intermediate microeconomics with calculus に相当する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0701102-01
FEC-EC2101L1
ミクロ経済学Ⅰ
神取 道宏
A1
金曜1限、金曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
経済学部
授業計画
0. 序 経済学の目的と方法 I. 価格理論 - 市場メカニズムの特長と問題点 1. 消費者行動 (1) 合理的行動 - 選好と効用関数 (2) 無差別曲線 (3) 最適消費(図解) *老人医療費補助は望ましいか (4) 限界分析入門 (a) 限界効用(偏微分) (b) 効用の変化(全微分) (c) 限界代替率 (d) 最適消費条件(ラグランジュの未定乗数法) (5) 最適消費の性質 (a) 所得の変化 - 上級財と下級財 (b) 価格の変化 - 需要曲線、ギッフェン財 (6) 代替と補完を測る分析道具―補償需要関数 (7) 支出関数 (8) 所得効果と代替効果 (9) 価格弾力性 2. 企業行動 (1) 経済学における企業の捉え方 (2) 生産要素が1つ(労働)のケース (a) 生産関数と生産性 (b) 利潤最大化 (c) 費用関数 サンクコスト 供給曲線 生産者余剰 実例:東北電力の費用曲線 (3) 2つの生産要素(労働と資本)があるケース (a) 規模に対する収穫 (b) 技術的限界代替率 (c) 利潤最大化 費用最小化条件 *凹関数 利潤最大化条件 (d) 長期の費用関数と供給曲線 (4) 一般のケース 要素需要と供給の性質 (5) 利潤と分配 オイラーの定理と完全分配定理 3. 市場均衡 (1) 部分均衡分析 (a) 市場需要曲線と供給曲線 需要・供給の識別問題 (b) 産業の長期均衡 機会費用 (c) 消費者余剰 消費者余剰と準線型効用 (d) 部分均衡分析の応用例 間接税の非効率性 パレート改善と一括固定税 農産物の輸入自由化はしたほうが良いか?-経済分析で考える (2) 一般均衡分析 (a) 経済の全体像の定式化-一般均衡モデル 労働供給 (b) 超過需要関数の性質 ワルラス法則 0次同次性 (c) 均衡の存在 以下、「ミクロ経済学 II」に続く
授業の方法
講義による
成績評価方法
成績は、毎週出題される宿題30%と期末試験70%によって決まります。
教科書
神取道宏『ミクロ経済学の力』日本評論社
参考書
神取道宏『ミクロ経済学の技』日本評論社 八田達夫『ミクロ経済学I・II』『ミクロ経済学Expressway』東洋経済
履修上の注意
・「ミクロ経済学 I (A1ターム)」と「ミクロ経済学 II (A2ターム)」は、両方セットで履修する必要があります。どちらか一方だけ単位を取ることはできません。 ・「ミクロ経済学 I (A1ターム)」と「ミクロ経済学 II (A2ターム)」の期末試験は、A2ターム終了後の同じ日に実施されます。「ミクロ経済学 I 」と「ミクロ経済学 II 」の両方に履修登録し、両方の試験を受けて合格した者のみが、「ミクロ経済学 I 」と「ミクロ経済学 II 」の単位を取得できます。両方の試験の成績(および宿題)を総合的に考慮して、同じ成績が「ミクロ経済学I」と「ミクロ経済学II」に与えられます。 ・宿題の解説や質疑応答のためのTAセッションをZoom で基本的に毎週行います。詳細については開講時にお知らせします。