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最終更新日:2025年4月21日

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環境倫理

 従来、「倫理」とは人間と人間との間、それも今を生きる人間同士の間の問題と考えられてきた。しかし、科学技術の進歩は人間の行動範囲を拡大するばかりか、生物の体内環境をも含む環境への影響力をも指数関数的に増大させてきた。ただし、私たちをめぐり囲むものである環境とは、必ずしも自然環境のみを意味しない。善い環境の下で善く生きることとはどのようなことかを問うのが環境倫理学であるが、環境と一口に言ってもその内実は複雑である。
 また、環境倫理学はもともと環境を守ろうとする実践から生まれてきたのであり、西洋哲学・倫理学史の系譜とは必ずしも関連していない面もある。いうなれば徹底的に現場の学問なのだ。とはいえ21世紀に入り、倫理学をはじめとする諸学との対話も深まってきて、環境倫理学の内容も厚みを増している。
環境倫理学の最も重要な課題は模範解答を示すことではなく、問いを「問い」として明確化して共有し、私たちが応答するための起点を築くことである。また、問いへの意外な応答の試みが現実の社会において既に大規模に、あるいはひそかに進められていたり、反対に滞っていることも少なくない。私たちがそれらの実践に触れる際、時に粛然とせざるを得ない。環境倫理学など役に立つのだろうか?だが先行する実践は理論を要求し、また理論が実践の手掛かりとなることも確かである。アップトゥデイトな理論と実践を往復する講義を通して、環境倫理学の積極的な可能性を開拓していきたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
060500011
FAG-CC2C02L1
環境倫理
山本 剛史
A1
月曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
1
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
不可
開講所属
農学部
授業計画
1、土地倫理と自然の権利 2、環境正義論(正義論概説を含む) 3、風土論と環境徳倫理学 4、胎内から地球環境へーカネミ油症に学ぶ― 5、リスクと予防原則 6、人類・地球の未来だけでなく地域の未来―福島第一原発事故に学ぶ― その1 7、人類・地球の未来だけでなく地域の未来―福島第一原発事故に学ぶ― その2 (進度等により順序及び内容の変更の可能性あり。)
授業の方法
講義形式で行う。
成績評価方法
最終レポートによる。 題目、提出期限等は講義中に指示する。
教科書
吉永明弘、寺本剛編『環境倫理学』昭和堂、2020年。 加えて、資料を配布する予定です。
参考書
吉永明弘『都市の環境倫理─持続可能性、都市における自然、アメニティ』勁草書房、2014年。(環境倫理学の基本事項を補完するために、特に第一部が役立つ。) 井戸川克隆『なぜわたしは町民を埼玉に避難させたのか』駒草出版、2015年。(原発事故を理解する上で必読。著者井戸川氏は地方自治体の長という行政側の視点と、一被災者の視点を併せ持っている。) K.S.フレチェット『環境正義』勁草書房、2022年。(環境正義論の第一人者である著者は、環境正義の理論を豊富な実例からボトムアップで形成する。) その他、随時講義中に紹介していく。
履修上の注意
毎回、授業の要約の提出を課す。出席点はつけないが、全7回中5回以上の提出がない場合は、出席が3分の2を下回ったとみなし、評価の対象外とする。 また、内容が不十分である場合は出席回数を0.5回にカウントする。