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最終更新日:2025年4月21日
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環境倫理
従来、「倫理」とは人間と人間との間、それも今を生きる人間同士の間の問題と考えられてきた。しかし、科学技術の進歩は人間の行動範囲を拡大するばかりか、生物の体内環境をも含む環境への影響力をも指数関数的に増大させてきた。ただし、私たちをめぐり囲むものである環境とは、必ずしも自然環境のみを意味しない。善い環境の下で善く生きることとはどのようなことかを問うのが環境倫理学であるが、環境と一口に言ってもその内実は複雑である。
また、環境倫理学はもともと環境を守ろうとする実践から生まれてきたのであり、西洋哲学・倫理学史の系譜とは必ずしも関連していない面もある。いうなれば徹底的に現場の学問なのだ。とはいえ21世紀に入り、倫理学をはじめとする諸学との対話も深まってきて、環境倫理学の内容も厚みを増している。
環境倫理学の最も重要な課題は模範解答を示すことではなく、問いを「問い」として明確化して共有し、私たちが応答するための起点を築くことである。また、問いへの意外な応答の試みが現実の社会において既に大規模に、あるいはひそかに進められていたり、反対に滞っていることも少なくない。私たちがそれらの実践に触れる際、時に粛然とせざるを得ない。環境倫理学など役に立つのだろうか?だが先行する実践は理論を要求し、また理論が実践の手掛かりとなることも確かである。アップトゥデイトな理論と実践を往復する講義を通して、環境倫理学の積極的な可能性を開拓していきたい。
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