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最終更新日:2026年10月16日
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土壌生態学
土壌を読み解く科学:Landscapeから微小環境、社会へ
私たちの足元にある土壌は、場所によって大きく異なり、その内部も決して均一ではない。地球規模では、気候、地質、植生などを反映して多様な土壌が分布し、一つのLandscapeの中でも、地形、水文、母材、土地利用などによって土壌の性質は変化する。さらに土壌内部には、団粒、孔隙、有機物、鉱物、植物根、微生物などが形成する微小環境が存在する。このような階層的な空間構造の中で、生物活動と物理・化学反応が相互作用し、植物生産や炭素・窒素などの物質循環を支えている。
本講義では、前期の「環境土壌学」等で学ぶ基礎的知識を踏まえ、まず地球規模およびLandscapeスケールから、土壌がなぜ場所によって異なるのかを考える。次に、生態系生態学の視点から、植物による一次生産、地下への炭素供給、微生物による分解、炭素・窒素循環をつなげて理解する。さらに、土壌内部の団粒や孔隙がつくる微小環境と生物活動との関係、土壌有機炭素の蓄積や団粒形成のメカニズムへとスケールを掘り下げる。また、人間活動による新たな環境負荷として、近年注目される土壌マイクロプラスチック問題について、土壌学・環境化学・生態学の視点から考える。
土壌炭素や団粒構造は、従来から土づくりや土壌肥沃度を支える重要な要素であるが、近年ではSoil healthや再生農業、さらに大気中CO₂を土壌に隔離する気候変動緩和策としても注目されている。世界ではCarbon creditやCarbon marketの仕組みが発展しつつあり、農地における炭素貯留量を測定・評価するMRV(Measurement/Monitoring, Reporting and Verification)の重要性も高まっている。こうした動きを背景に、農業・食品関連企業、商社、ベンチャー企業など民間セクターにおいても、土壌炭素貯留、Carbon farming、Soil healthなどへの関心が高まっている。
しかし、土壌炭素の変化を正しく評価するためには、単に土壌試料を分析するだけでは十分ではない。それぞれの土地の気候、地形、母材、植生、土地利用履歴を読み、土壌の空間的不均一性と形成過程を理解した上で、適切なsampling、分析、モデル化を行う必要がある。すなわち、古典的な土壌生成やLandscapeの理解から、微生物・団粒レベルのプロセス、最新のMRVまでが一つにつながっている。
本講義では、地球・Landscapeから土壌内部の微小環境まで異なる空間スケールを行き来しながら「土壌を読み解く」力を養うとともに、その知識が農業、食品、環境、気候変動、さらには企業活動や社会制度の中でどのように活用されつつあるのかを考える。
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