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最終更新日:2026年10月16日
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土壌圏の科学
土壌圏の諸現象に関する入門的講義
私たちの足元に広がる土壌は、海洋に次いで広大な地球表層の「場」である。しかし、普段その存在を意識することはあまりない。そもそも土壌とは何だろうか。土壌は地球上でどのような役割を果たしているのか。100年で1 cm程度しか形成されない土壌が地球からなくなったら、人類は生きていけるのだろうか。本講義では、このような素朴だが大きな問いから「土壌圏の科学」を考える。
土壌は食料生産の基盤であるだけではない。水や炭素・窒素などの物質循環、多様な生物の生息、生態系の維持、さらには長期的な気候変動にも深く関わっている。したがって、土壌の状態は気候変動や生物圏の健全性(biosphere integrity)などのPlanetary Boundaries、さらには人間と地球環境の健全性を一体として捉えるPlanetary Healthとも密接に関わる。土壌圏を理解することは、農業だけでなく、地球環境と人類社会の持続可能性を考えることでもある。
しかしながら、人間活動や不適切な土地利用によって、世界各地で土壌の劣化が進んでいる。土壌侵食、塩類化、汚染などとして現れるその影響は、食料生産だけでなく、水環境、生態系や気候にも及ぶ。一方で、土壌は人間の管理によって保全し、再生することもできる。すなわち、土壌をどのように理解し、利用し、管理するかは、人類の持続的な繁栄を左右する重要な鍵の一つである。
本講義では、土壌学、物理学、化学、生物学、生態学、植物栄養学、生物地球化学など、異なる視点から土壌圏の成り立ちと働き、人間活動との関係、そして保全・再生について学ぶ。また、知識を習得するだけでなく、学生自身が問いを立て、講義を通して考え、議論する機会も設ける。最後には、講義を通じて得た知識をつなぎ合わせ、「人類は土壌なしで生存できるか」「土壌劣化を食い止め、修復できるか」「宇宙進出に土壌は必要か」といった問いにあらためて向き合い、土壌圏について何が分かっていて、何がまだ分かっていないのかを考える。
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