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最終更新日:2024年4月22日

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量子コンピューター実習

IBM Quantumを用いた量子コンピュータ実習:ハードとソフトで学ぶ
近年、量子コンピュータの実用化に向けて、GoogleやIBM等の企業や国内外の
研究機関による開発が急速に進んでいる。現在の量子コンピュータはNISQと
呼ばれノイズの影響を受けるため、汎用型計算機として機能しない。それゆえ、
目的に応じて、ハードウェアから基盤ソフトウェアまで異なる階層での研究開発
が必要となる。一方で、NISQの実用化が今後の成功の鍵を握っているとも言える。
つまり、理想的な環境でのアルゴリズム開発とは異なる、多階層での実践的な
知識を持った人材が切望されている。

本講座では、量子コンピュータを使うことに重点を置いた授業を行う。特に、
IBMの量子コンピュータとソフトウェア環境Qiskitを使って、
1)量子アルゴリズムの基礎と実習
2)量子プログラミングと、IBM Quantum環境での実習
3)量子機械学習など、応用的な量子アルゴリズムの実習
4)超伝導量子コンピュータ等の代表的な量子系の基礎と動作原理
を学ぶ。

また、希望者を対象に、人数を限定する選抜形式で
5)超伝導量子コンピュータ、光量子、NMR等の量子系を用いたハードウェア実習
を行い、どのように量子計算が実機で行われるのか直接体験する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0590112
量子コンピューター実習
浅井 祥仁
S1 S2
木曜1限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
理学部
授業計画
ソフトウェア実習 ————————— 量子コンピュータは、「量子アルゴリズム」として書かれている計算手順を量子 状態に適用することで、目的の計算を行う。この実習では、量子計算の仕組みに ついて、その基礎から応用までを学ぶ。特に、量子系を直接操作していることを 実感できる問題を取り上げながら、量子コンピュータの最新の応用について、 実例を交えた実習を行う。 CHSH不等式の破れを確認する - CHSH不等式とは - Qiskitの基本構造を学ぶ - CHSH不等式を計算する回路を書く - 実習:回路を実機で実行する 超並列計算機としての量子コンピュータ - 単純な量子回路をゼロから書く - 巨大SIMDマシンとしての量子コンピュータ - 量子フーリエ変換による足し算 - 実習:シミュレータでの実行 量子ダイナミクスシミュレーション - 量子系のダイナミクスとは - なぜ量子コンピュータでダイナミクスシミュレーションか - 実習:ハイゼンベルグモデルの時間発展 ショアのアルゴリズム - 量子位相推定とは - アルゴリズム本体を学ぶ - 実習:シミュレータでの実行 グローバーのアルゴリズム - 非構造化データの検索 - アルゴリズム本体を幾何学的に学ぶ - 実習:シミュレータと実機での実行 変分法と変分量子固有値ソルバー - 量子力学における変分法 - 変分量子固有値ソルバー法を学ぶ - 実習:シミュレータを使った変分量子回路の実習 量子・古典ハイブリッド機械学習 - 機械学習と深層学習について - 変分量子アルゴリズムによる機械学習 - 実習:素粒子実験での分類問題への応用 超伝導量子コンピュータの仕組み - 回路QEDの基礎を学ぶ - 超伝導量子ビットとは - マイクロ波パルスによる制御 超伝導量子コンピュータを操作する - 基本ゲートを実行する - 量子ビットを読み出す - ソフトウェアによる実習 光量子系 - 光学系の基礎を学ぶ - 量子もつれ状態を作る(非線形光学結晶とSPDC) - HOM干渉によるCNOTの実装 - 他の量子系との違いを学ぶ 核磁気共鳴(NMR) - NMRの基礎を学ぶ - 状態を準備し、量子ゲートを実行する - 簡単な量子アルゴリズムの実装と測定 - 他の量子系との違いを学ぶ ハードウェア実習(希望者のみ、人数を限定する選抜形式) -------------------------------------------------------------------------- 本実習では、超伝導量子コンピュータ、光量子、核磁気共鳴(NMR)の実機 環境を使って、実際のハードウェアに触れながら量子計算の基本操作と 計算の仕組みを学ぶ。講義で学んだ内容に沿って、実機で計算を行うことの 難しさや、量子力学特有の現象が発現する様子、各量子系の動作の違いなど を学習する。その体験を通して、量子技術の実験的面白さを見つけ、 「量子センサー」や「量子計測」を使った研究への橋渡しとして欲しい。 

授業の方法
講義を行ったあとに、各自のコンピュータを使って実習用ワークブックに ある量子ブログラムを実行する。ワークブックは、ウェブブラウザ上で インタラクティブに動く形式で提供する。プログラムの実習はIBM量子 コンピュータにアクセスして実機上で走らせるが、問題に応じて シミュレータも活用する。 IBM量子コンピュータを使用するため、受講にはIBMidのアカウント作成 と登録が必要になる。詳細は、実習用ワークブックの中の「実習の準備」 を参照すること。 実習を進める上でPythonの予備知識を持っていることが望ましいが、 言語としての基本的な使い方について、初回の授業で説明することを 予定している。
成績評価方法
レポート
教科書
実習用ワークブック: https://utokyo-icepp.github.io/***** (内容は更新する予定です)
参考書
なし(授業中に指定します)
履修上の注意
ノートパソコンを持っていること。 予備知識として、プログラミング言語のPythonを理解していることが 望ましいが、並列に学ぶことも可とする。実習では、IBMが提供する Qiskitというソフトウェアライブラリを使用する。詳細は、実習用 ワークブックの中の「実習の準備」を参照すること。