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量子コンピューター実習

IBM-Qを用いた量子コンピュータ実習:ハードとソフトで学ぶ
近年、Googleによる量子卓越性の証明に見られるように、量子コンピュータの実用化が近づいてきている。一方、量子コンピュータは従来の汎用型古典コンピュータとは異なり、目的に応じて、ハードから基盤的なソフトウェアまで異なる階層での研究開発が必要となる。また、ノイズの影響を受ける「NISQ」と呼ばれる量子コンピュータの実用化が今後の成功の鍵を握るため、理想的な環境でのアルゴリズム研究とは異なる、実践的な教育が必要である。

本講座では、IBMの量子コンピュータIBM-Qとソフトウェア環境Qiskitを使って、
1)量子アルゴリズムの基礎と実習
2)量子プログラミングと、IBM-Q実機環境での実習
3)量子機械学習など、応用例の実習
を学び、量子コンピュータを使うことを学習する。また、
4)光量子系を用いて量子ゲートを実装するハードウェア実習(希望者のみ)
を通して、量子力学特有の現象に直接触れることで、量子実験の面白さを学ぶ。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0590111
FSC-CC4A24L1
量子コンピューター実習
浅井 祥仁
S1
木曜1限
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教室
理学部1号館西棟 207講義室
講義使用言語
日本語
単位
1
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
理学部
授業計画
ソフト実習 -------------- 量子コンピュータが表現する量子状態に対して、「量子アルゴリズム」の操作を行うことで計算する仕組みについて、基礎から応用までを学ぶ。特に、量子系を触っていることを実感できるような実習を目指す。 CHSH不等式の破れを確認する - CHSH不等式とは - Qiskitの基本構造を学ぶ - 量子ビット、ゲート、回路、測定 - よく使うゲート - 回路図の書き方と読み方 - CHSH不等式を計算する回路を書く - 回路コードを参考に、プログラムを書く - 回路を実機で実行する - 測定結果の解析 超並列計算機としての量子コンピュータ - 単純な量子回路をゼロから書く - シミュレータを使って量子状態を調べる - その他の1, 2量子ビットゲート - ゲートを組み合わせて色々な量子状態を作る - 巨大SIMDマシンとしての量子コンピュータ - 量子フーリエ変換による足し算 - 足し算の並列化 - シミュレータでの実行 - ハードウェアで実行可能なゲートへ変換 - 回路の比較 - 量子体積とは 量子ダイナミクスシミュレーション - 量子系のダイナミクスとは - 簡単な例 - 量子コンピュータ上でのダイナミクスの表現 - 鈴木・トロッター分解 - なぜ量子コンピュータでダイナミクスシミュレーションか - 実習:ハイゼンベルグモデルの時間発展 ショアのアルゴリズム - 量子位相推定とは - 1とn量子ビットの場合 - アルゴリズム本体を学ぶ - 素因数分解の例 - 量子回路への実装 - 測定結果を解析する - ショアのアルゴリズムをシミュレータで実行する - オラクルと逆量子フーリエ変換を実装する - 結果を解析し、位数を求める グローバーのアルゴリズム - 非構造化データの検索 - アルゴリズム本体を学ぶ - 位相オラクル、回路構成、状態の生成 - 幾何学的に理解する - 振幅の増幅を可視化して見る - 複数データを検索する場合 - グローバーのアルゴリズムを実機で実行する - ある数を探索する問題を実装する - 量子回路への実装 - シミュレータと実機での結果を理解する 変分法と変分量子固有値ソルバー - 量子力学における変分法 - 変分量子固有値ソルバー法を学ぶ - 変分量子回路とは - 単純な変分フォームの例 - パラメータの最適化 - 実例を使って変分量子回路の学習を行う - 高エネルギー実験への応用 - LHC実験とは - 荷電粒子飛跡の再構成 量子・古典ハイブリッド機械学習 - 機械学習と深層学習について - 量子機械学習 - 初歩的な例の実装(データから関数を求める) - 素粒子現象の探索への応用を考える - 学習データの準備 - 量子状態の生成と変換 - 測定結果を判定する ハード実習(希望者のみ) ------------------------------- 本実習では、光量子系を使って、量子計算の基本要素ゲートである「C-NOT (Controlled-NOT)」操作の原理と手法を学ぶ。 自発パラメトリック下方変換(SPDC)により、量子もつれの状態にある光子対を生成する。この光子対を用いてCHSH測定を行い、量子計算及び量子通信の基本原理である、量子論の「非局所相関(Non-Locality)」を計測する。さらに光子対同士を干渉(HOM interference)させることで、一方の光子(制御量子ビット)で他方の光子(標的量子ビット)の量子状態を操作するControlled-NOTの手法を学ぶ。 本実習を通して、量子コンピュータの基本ゲート操作の実装方法を身につけるだけでなく、量子もつれや重ね合わせ状態、非局所相関といった量子論特有の物理現象を応用した「量子センサ」や「量子計測」への橋渡しとして、その実験的面白さを味わってほしい。 実習項目 - SPDC(量子もつれ状態にある光子対の生成源) - CHSH(Bell不等式の破れ) - HOM interference - 光量子系でのC-NOT操作
授業の方法
講義を行ったあとに、各自のコンピュータを使って実習用ワークブックにある量子ブログラムを実行する。ワークブックは、ウェブブラウザ上でインタラクティブに動く形式で提供する。プログラムの実習はIBM量子コンピュータにアクセスして実機上で走らせるが、問題に応じてシミュレータも活用する。 IBM量子コンピュータを使用するため、受講する方はアカウントの作成をお願いします。詳細は、実習用ワークブックの中の「実習の準備」を参照してください。
成績評価方法
レポート
教科書
実習用ワークブック: https://utokyo-icepp.github.io/*****
参考書
なし(授業中に指定します)
履修上の注意
ノートパソコンを持っている。 予備知識としてプログラミング言語のPythonを理解していることが望ましいが、絶対条件ではない。並列に学ぶことも可とする。実習では、IBMが提供するQiskitというソフトウェアライブラリを使用する。