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最終更新日:2024年4月22日

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理論生物学

細胞システムのダイナミクスと機能:数理解析から情報学的なアプローチまで Understanding Dynamics and Functions of Cellular Systems: Theoretical analysis and bioinformatics
生体は、その素過程である細胞レベルから多様なダイナミクスと様々な機能を有する。
近年イメージングやシーケンシングの発展によりこれらの動態を定量的に計測・解析できるようになっていることを背景として、複雑な細胞や細胞集団のダイナミクスを理解するための数理が生命科学においてますます重要になっている。

本授業では、その基礎となる細胞を単位とした生体システムの数理解析手法と関連トピックを概説する。
細胞システムの数理モデルの理解と解析に不可欠な反応速度論、そしてそれを応用した生体機能の理論解析の例として、非線形応答やロバスト性、自己複製に付随する普遍則などを扱う。
またデータからの細胞動態の推定は、バイオインフォマティクスにおいても重要な課題になってきている。これらに関連する分化動態解析やRAN velocity、そして発生ランドスケープ解析についても解説する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0560540
FSC-BI4B16L1
理論生物学
小林 徹也
S1
火曜1限
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講義使用言語
日本語
単位
1
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
理学部
授業計画
初回(4月9日)は以下を行う 1: ガイダンス, 2: 細胞システムのダイナミクスと機能:数理と情報の観点から(Introduction) ※:授業のHPに最新情報をUPしますのでチェックをお願いします(https://yaqbio.crmind.net/*****)。 以降、下記よりトピックを受講者のバックグラウンドなどを考慮して選択する。 今年度取り上げないトピックの一部については、過去の講義動画のオンデマンドマテリアルも受講者には提供する。 【理論生物学の基礎と】 ・反応速度論・微分方程式・フィードバックループ・反応の物理化学・細胞集団のモデリング 【細胞の非線形応答とその機能】 ・反応過程の縮約と実効的方程式(Michaelis-Menten, Hill 方程式) ・細胞反応と非線形応答と細胞の分子認識(シグナル伝達系・免疫応答) 【細胞システムのロバストネス】 ・環境変動への適応と化学走性(完全適応) ・分子濃度変化に対するロバストネス(絶対濃度補償性) 【自己複製とその普遍的性質】 ・自己複製にともなう拘束と普遍性(細胞の成長則) 【細胞集団ダイナミクスとその推定】 ・細胞集団のモデリングとエピジェネティックランドスケープ ・scRNAseqデータなどからの発生動態推定(RNA velocityの原理と応用) ・scRNAseqデータなどからのランドスケープ推定 【細胞の記憶と非線形ダイナミクス】 ・細胞の記憶と多安定状態(遺伝子発現スイッチ) ・振動現象と負のフィードバック(概日リズム) ・動的な入力への細胞応答(動的入力に誘導される細胞分化) 【細胞内反応の化学熱力学】 ・非線形応答と非平衡性(非線形応答の熱力学的コスト) 【生物情報学的トピック】 ・イメージングデータからダイナミクスを推測する(隠れ状態推定の原理と応用) ・生体の分子認識への情報学的アプローチ(嗅覚情報処理へのグラフNNの応用)
授業の方法
講義による。
成績評価方法
出席とレポートによって評価する。 詳細についてはガイダンス時に伝える。
教科書
教科書は指定しない。
参考書
以下の書籍や記事が参考になる: ・"システム生物学入門 -生物回路の設計原理"、Uri Alon (著), 倉田 博之 (翻訳), 宮野 悟 (翻訳) 、共立出版. ・"システム生物学入門"、畠山 哲央 (著), 姫岡 優介 (著), 講談社. ・"生命科学の新しい潮流 理論生物学"、望月 敦史 (編集) 、共立出版. ・ウェットウェア: 単細胞は生きたコンピューターである、デニス・ブレイ (著), 熊谷 玲美 (翻訳), 田沢 恭子 (翻訳), 寺町 朋子 (翻訳) 、早川書房 ・"定量生物学 生命現象を定量的に理解するために", DOJIN BIOSCIENCE SERIES, 化学同人 ・"生命システムを定量する!", 実験医学 2013年5月号, 羊土社 ・"数でとらえる細胞生物学", 舟橋 啓/翻訳,Ron Milo,Rob Phillips/著, 2020, 羊土社 ・"Physical Biology of the Cell", Rob Phillips(他), Garland Science. ・"Biophysics: Searching for Principles", Bialek, W., Princeton University Press ・"Cell Biology by the Numbers", Ron Milo & Rob Phillips, Garland Science さらに学びたい場合には以下のまとめを参照すること: ・細胞の理論生物学の学び方(学部前期向け):https://zenn.dev/***** ・細胞の理論生物の学び方(学部後期・大学院編):https://zenn.dev/*****
履修上の注意
各問題についての具体的な生物学的な知識は仮定しないが、DNAやタンパク質、セントラルドグマ、化学反応などの基本的事項は理解していることが望ましい。 数理的な側面については、線形代数や微分方程式の基礎(学部1,2年生程度)については勉強したことがあることを想定する。 追試・追レポート等がある場合は、理学部3号館412講義室前掲示板、生物情報HP(http://www.bs.s.u-tokyo.ac.jp/*****)に掲載するので注意すること。