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最終更新日:2025年4月21日

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人体解剖学実習(神経)

神経解剖学
脳神経科学はわれわれとは誰かという疑問を物質的に解明しようとする学問領域のひとつであり、日進月歩の先端的研究が行われている。本コースはその基礎となる神経解剖学を平易かつ刺激的に講じるもので、肉眼神経解剖学(脳マクロ)、神経組織学(脳ミクロ)の講義・実習を行う。神経系の構造と機能に関する基本的知識・概念を習得し、神経生理学等の履修の基盤を構築することを目標とする。 さらにこれに関連して、当教室でこれまで確立した統合失調症、疼痛、感覚障害、PTSD、認知症、てんかん、脳腫瘍、水頭症、神経変性疾患等のヒト疾患モデルとなるキネシン分子モーター欠損マウス群の解析研究をひとつの例として、神経細胞の分子機構におけるミクロレベルの擾乱が中枢・末梢神経系におけるマクロレベルでの機能障害をいかに惹起するかのミクロ-マクロ問題の攻め方を包括的に論じる。またベタイン(カルボニルストレスを軽減する低分子化合物)やAAV(アデノ随伴ウイルス)ベクターを用いた介入実験等についても講師らの最新知見を紹介し、神経科学領域におけるトランスレーショナルリサーチのあり方についても議論する。
本授業科目は、学位授与方針10項目の1.医学知識、6.創造的思考、9.国際性、10.未来への志、に関連した科目である。https://www.m.u-tokyo.ac.jp/*****
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0543015
FSC-BS3A07P1
人体解剖学実習(神経)
田中 庸介
S1 S2 A1 A2
月曜3限、月曜4限 他
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講義使用言語
日本語
単位
4
実務経験のある教員による授業科目
YES
他学部履修
不可
開講所属
理学部
授業計画
別シート参照 担当非常勤講師 岩﨑 広英 群馬大学教授 日置 寛之 順天堂大学教授
授業の方法
PM 13:00~16:40 以下の三種類の授業を取り交ぜてわかりやすく進めます。 ・講義 7回あります。オンラインのブラッシュアップテストを一週間以内に回答してください。授業の中でユタ大学の視聴覚教材 (英語) を上映します。ハンドアウトはutolオンラインで送信しますので、必要に応じてプリントアウトして持参してください。特に、講義中書き込めるようなワークシートを用意しているので、それはプリントアウトしてもってきてもらえるとノート代わりになると思います。 ・ミクロ実習 3回あります。実習の方法についてはハンドアウト(実習書)を配布します。スケッチブックを期末試験時に提出してください。組織学実習のスケッチブックの続きに描いてもらえればよいです。過去の実習講義のオンラインビデオをutolにアップロードしておきますので、事前の視聴をすすめます。 ・マクロ実習 4回あります。実習の方法については「解剖実習の手引き」を用い、具体的項目についてはハンドアウト(実習書)を配布します。配布する実習プリントのスケッチ課題8枚を、最終日に提出してください。
成績評価方法
脳ミクロ・脳マクロ実習のスケッチを提出し、座学のブラッシュアップテストに回答する。最終筆記試験と、これらの結果を総合し、成績を判定する。
教科書
1. カラー図解 神経解剖学講義ノート 寺島俊雄 2011 金芳堂 京都 (重要です) 2. 解剖実習の手びき 改訂11版 寺田春水・藤田恒夫 2004 南山堂 東京 (重要です) 3. 過去の配布プリント(単元1~14、参考までに)  4. ユタ大学視聴覚教材 https://neurologicexam.med.utah.edu/***** 5 ワークシート (utol) 6 ブラッシュアップテスト (google form) 7 ミクロ・マクロ実習書 (utol)
参考書
1. Color Atlas and Textbook of Human Anatomy, 7th Edition Vol. 3 Nervous System and Sensory Organs. 2015 Thieme  原書(独語)の英訳。邦訳も文光堂から出ている(分冊解剖学アトラスIII 神経系と感覚器、越智淳三訳、文光堂、2011)が、最新版ではない。3分冊の3巻目が神経であるが、全巻持っていた方が良い。原則として見開き左頁にテクスト、右頁に精密な図という構成になっており使い易い。 2. 脳解剖学 萬年甫/原一之 1994 南江堂   古い本であるため最新の内容は含まれていないが、内容を絞って書かれているので通読に適している。神経解剖学研究の流れから伝達物質の知見までバランスよく書かれている。日本語の本としてはお勧めの一冊である。著者による神経組織のスケッチが付いており組織学実習時のよい手本となる。 3. Clinical Neuroanatomy for Medical Students. 7th edition. Snell, R. S. 2009. Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore.  定評ある古典的教科書。臨床医学との関連に重点が置かれて書かれている。日本語訳もあった(絶版)が、医学英語の勉強もかねて原書の通読を薦める。 アトラス: 4. Neuroanatomy: An Atlas of Structures, Sections and Systems. Haines, D. E. 8th edition. 2011. Lippincott Williams and Wilkins, Baltimore.   スタンダードなアトラスで、分かりやすい伝導路のまとめが付いている。邦訳あり(ハインズ神経解剖学アトラス 第4版、山内昭雄訳、MEDSI、2013)。 5. 脳の地図帳 原一之 2005 講談社 東京  日本語によるアトラスで、神経解剖のエッセンスを抽出している。知識の整理や脳解剖の全体を俯瞰したい時には優れたテクストとなるであろう。一般向けなので解剖学用語の外国語併記がないのが残念。 その他: 6. Principles of Neural Science. 5th edition. Kandel, E. R. et al. 2012 McGraw Hill, New York.  機能解剖、生理学、神経細胞生物学、臨床医学等広範囲の記述が為されていて、後々他科でも役立つであろう。Figureが良くできており、読者の理解を助ける。読み物としても面白い。 7. New Ideas on the Structure of the Nervous System in Man and Vertebrates. Ramón y Cajal, S. 1990. MIT Press.  神経解剖学・組織学のパイオニアであるCajalの業績がコンパクトにまとめられている。スケッチのすばらしさに注目して欲しい。 8. 解剖学用語 改訂13版 日本解剖学会 (編) 2007 丸善 東京  解剖学用語のラテン語・日本語対応辞典。所謂nomina anatomicaが網羅されている。
履修上の注意
神経解剖学は前半の精緻な脊髄・脳幹の神経核・神経路の理解と、後半の各論的な高次中枢の運動制御・感覚中枢のトピックスの理解の大きく二つの山があるが、解剖学はまず人体内部の「風景」に慣れ親しんでもらうことを目的とする科目であるため、難しいロジックは全く無い。 前半と後半に関して、米国のユタ大学が公開している神経解剖学のわかりやすい講義教材を援用する。内容の理解の助けにするとともに、医学英語のヒアリング能力向上の一助にして欲しい。 前半に関しては、運動路と感覚路、脳神経等の項目がある。中脳、橋、延髄、脊髄において、それぞれの伝導路がどのように走行し交叉しているかを個々人のワークシート上に整理し、図を描きながら理解すれば、脳血管障害等のダメージによる臨床症状の発現をシミュレーションすることが出来る。また小脳が中脳、橋、延髄のそれぞれと上中下の小脳脚を通してどのように線維連絡をし、運動学習や姿勢制御にかかわっているかの理解も大きなポイントとなる。ミクロ実習では、それぞれの部位においてどのように基本コンセプトである「ベル・マジャンディーの法則」が変奏されるかを理解することが重要である。 後半に関しては、脳の血管・髄液の流れを理解するとともに、脳の高次機能が集約される大脳新皮質、それに至る特殊感覚の伝導路、感覚その他の重要な中継点である間脳の視床、脳の植物機能に大きな役割を果たす視床下部と下垂体、記憶形成の基礎となる海馬・大脳辺縁系、パーキンソン病に関係する大脳基底核の運動制御系などのシステム的理解が重要である。神経内科、脳神経外科、精神神経科などの臨床にも直結するものであるため、しっかり学習していただきたい。 いずれも、寺島脳解剖学、ユタ大学のビデオ、講師陣による座学、ワークシート、ブラッシュアップテストの課題、脳ミクロスケッチ、脳マクロスケッチ、過去の東大脳解剖プリント群、などの豊富で楽しい教材を用いて、容易に学習を進めることが可能である。 神経科学は未解決問題の宝庫であり完全に説明しきることは不可能であるが、講義・実習を通して上記構造に慣れ親しみ、トピックス的な理解がなされれば、神経解剖学の学習目標には十二分に到達することができる。またこれを通じて、神経科学の研究に目が向く学生が増えれば、講師陣としてはこれ以上の喜びはない。
その他
座学は、プリントアウトしたワークシートを必ず持参すること。 ミクロ実習は、プリントアウトした実習書、スケッチブックと色鉛筆とアトラスを必ず携帯すること。 マクロ実習は、白衣・解剖用具・筆記用具・プリントアウトした実習書・解剖実習の手びき・アトラスを持参すること。
実務経験と授業科目の関連性
脳神経外科、神経内科、精神神経科などの基盤となるとともに、神経科学全般の重要な基礎となります。