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最終更新日:2026年10月16日

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数学続論XC

双曲力学系とエルゴード最適化 
多様体上の可微分力学系理論における基本的なクラスに Axiom A 系 と呼ばれる力学系がある。このクラスは構造安定性を特徴付けようとする試みを通して定義された。このクラスの力学系理論は双曲理論としてすでに完成されているが、そのクラス以外の力学系を研究する上でも避けては通れない基本的な理論である。この講義では、まずAxiom A 微分同相写像 に対する双曲理論の基本事項を扱う。次に、簡単なエルゴード理論の基礎を準備した後、Jenkinson による TPO(Typically Periodic Optimization)予想を Axiom A 微分同相写像に対して考える。この TPO 予想とは、「ある種の双曲性を持つ力学系と、適切な連続性を持つ関数からなるバナッハ空間に対し、そのバナッハ空間の開かつ稠密な部分集合が存在して、その中の関数を固定したとき、その関数に関するエルゴード平均が最大化されるエルゴード測度は1つの周期軌道上にサポートされるエルゴード測度になる。」というものである。つまり、非自明な双曲性はカオスをもたらすが、ある意味でその振る舞いを表す多くの関数は、実は単独の周期軌道上で最大化される、という意味を持つ。これは
1990年代の論文 Yuan-Hunt による論文の中で与えられた Axiom A 微分同相写像と連続微分可能またはリプシッツ連続な多様体上の関数に対する予想を一般化したもので、その論文では、リプシッツ連続な場合について、Axiom A 微分同相写像が Class I と呼ばれるクラスに含まれるとき正しいことを証明している。そのYuan-Hunt 予想自体は最近ほぼ解決したと思われるが、彼らがその論文で展開した議論は比較的基礎的な知識で証明できるため、上記の双曲理論とエルゴード理論の良い応用と考えられるだけでなく、最近発展しているエルゴード最適化問題の入門としてふさわしい。この講義ではこの部分の解説を目標とする。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0505107
FSC-MA4763L1
数学続論XC
林 修平
A1 A2
木曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
可
開講所属
理学部
授業計画
この講義では微分可能な離散時間力学系として、連続微分可能な微分同相写像の力学系を考える。以下の事柄をこの順番に講義する予定である。 1) 離散時間力学系の例 2) 双曲性とは何か? 3) 双曲型集合 4) Hartman-Grobman の定理 5) 安定多様体と不安定多様体 6) Axiom A 微分同相写像 7) Axiom A 微分同相写像に対するスペクトル分解 8) 擬軌道追跡性 9) 不変測度 10) エルゴード不変測度 11) コンパクト距離空間上の確率測度の位相 12) エルゴード分解定理 13) リプシッツ連続関数に対する optimal orbit 14) TPO(Typically Periodic Optimization)予想とはどのような予想か? 15)Yuan-Huntのよる, Class I 条件を満たす Axiom A 微分同相写像とリプシッツ連続関数の空間に対するTPO予想の証明
授業の方法
通常の講義
成績評価方法
レポートによる。
履修上の注意
多様体論と関数解析の基礎は予備知識として仮定する。