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最終更新日:2024年4月22日

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数学続論XA

数論幾何学からの無限圏入門
エタール・コホモロジーの理論を体系化するにあたり,グロタンディークは導来圏を導入した.これにより,複体レベルでは煩雑な関係式を,必要な情報を欠かすことなく,直感的かつ簡明に表現することが可能となった.一方で導来圏には導入当初から認知されていた大きな欠陥があった.これは錐を取るという極めて基本的な操作が関手的に振る舞わないという点である.グロタンディークを含め多くの人々がこの問題を修正した体系を構築しようとし,同値なものを含めいろいろな理論が提起されたが,専門外の人々からは使いづらいものであった.
近年Lurieがこれらの理論の中でも無限圏(正確には擬圏)を土台に基礎理論をまとめることによって状況が一変し,無限圏が専門家でなくとも使える環境が整ったと言える.そこで本講義ではLurieの教科書に沿い,無限圏の入門的な講義を数論幾何学への応用を念頭に行う.そのため,「スキーム論」や「層とコホモロジー論」など代数幾何学の標準的な知識がある人は苦労なく理解できるように努める.例えば,無限圏論は単体的集合を中心としたホモトピー論の言葉で記述されるが,本講義ではホモトピー論の基礎知識は仮定しない.無限圏の理論の肝は,理論の細部より,古典的な圏論の直感がほぼそのまま通用するということにあると思う.そのため,標準的なレベルの圏論(例えばEGAで用いられる程度)の知識は仮定する.
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
0505105
FSC-MA4710L1
数学続論XA
阿部 知行
A1 A2
水曜2限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
理学部
授業計画
1. 単体的集合論の基礎 2. 無限圏 3. 無限圏における基本的な操作 4. モデル圏 5. 無限圏における様々なファイブレーション 6. 極限 7. 安定無限圏 8. エタール・コホモロジーの無限強化
授業の方法
講義による
成績評価方法
レポート提出
教科書
J. Lurie, “Higher Topos Theory”, Ann. Math. Studies 170, Princeton University Press.
参考書
D. Gaitsgory, J. Lurie, “Weil's Conjecture for Function Fields: Volume I”, Ann. Math. Studies 199, Princeton University Press. M. Groth, “A short course on $\infty$-categories, https://arxiv.org/*****
履修上の注意
圏論の言葉は自由に用いるので馴染みがある必要がある.また,本講義においては導来圏が無限圏導入の動機付けになるので,(アーベル圏の)導来圏を知らない人は学習しておくこと.