主に高次元射影代数多様体の双有理自己写像に関する最近の話題から、ザリスキー稠密軌道の存在、原始的自己写像の存在に焦点をあてて解説する。前半では、力学次数の概念を導入した後、主に複素数体上で考え、Zariski稠密性予想と呼ばれる予想を証明した後、力学次数も用いた幾何学的な考察を中心に様々な具体例(有理多様体、アーベル多様体、カラビ・ヤウ多様体、超ケーラー多様体とそれらの双有理有理写像)とともに解説する。有理数体の代数閉包上ではZariski稠密性予想は極めて非自明となる。後半では、有理数体の代数閉包上でのZariski稠密性予想に関する最近の進展を、Junyi Xie氏、Matsuzawa氏らの最近の仕事に基づき解説する予定である。