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最終更新日:2026年10月16日
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スラヴ文学史概説
近代ロシア文学史
ロシア文学は、人間とはなにか、人はどう生きるべきか、神はいるのか、といった抽象的・普遍的な問答を繰りひろげる難解な思想書と思われがちです。またその普遍性ゆえにまた、現代人にも読む価値があるとされます。しかしこれらの問いは(あたりまえですが)具体的な時代の具体的な社会状況から発生した問題でもあります。
ではその具体的状況とは何でしょうか。西欧において、商品交換経済が支配的になるにつれ、個人の財産や自由の保障、平等主義、民主主義といった理念にもとづく社会の近代化が進むと、ヨーロッパの周縁に位置するロシアでも、遅ればせながらこの過程に巻きこまれていきます。しかしロシアの近代化過程は、西欧近代の直接的拡張とはなりませんでした。ロシアでは、西欧近代の受容とともに、反個人主義、共同体主義、反資本主義、専制支持の土壌が形成・強化され、やがては社会主義国家ソヴィエト連邦を長期存続させることとなります。さらにポスト・ソ連の新生ロシアは、ふたたび遅ればせながら、西欧近代の延長としてのグローバル・エコノミーと単一的な国際秩序に復帰したかに見えました。しかし2022年からのウクライナ侵攻は、再度のグローバル秩序からの離反と、さらにはその破壊をもたらしつつあります。
授業では、このような長期的な展望を念頭に置きつつ、ロシア的近代のなかから誕生した19世紀のロシア文学作品を論じます。近代化という不可避的過程の内部で、近代化に逆行する動きが生まれ、それがまたロシア独自の近代化を支えていく、というロシアの置かれた具体的状況こそが、神とはなにか、人はどう生きるべきか、といった普遍的・文学的問題を提起するのだということを理解していくことがこの授業の目標となります。
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