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最終更新日:2026年10月16日
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フランス語学フランス文学演習I
『ロラン・バルトによるロラン・バルト』を読む
『ロラン・バルトによるロラン・バルト』(1975)は、アルファベット順に配列された百余の断片からなる、きわめて特異な「自伝」である。そこではバルトは、自作と知的遍歴を回想しつつ、幼少期や私的な断片にも光を当て、同時に自分の仕事の姿勢を周到かつ率直に語る。物語や体系といった「連続の書き方」を拒み、断片という形式を選ぶのは、全体化の幻想から距離を取り、いま・ここでの驚きと自由を確保するためである。バルトは、他人に委ねられがちな「伝記素(biographèmes)」―生の細部―をみずからの手で実践し、書物として配置する。日常の些細な場面は、読者の視線をその場に留め、全体を統合する原理から逸脱する魅力を放つが、まさにその細部こそが、読者が容易に入り込める入口となる。本作は、知的「自伝」であると同時に、誰にでも移動可能な細部の快楽を示す試みであり、ペレック『ぼくは思い出す』(1978)へと連なる「誰にでも書ける自伝」の構想を先取りしている。授業では、断片の配置、伝記素の働き、そして「読むこと/立ち止まること」の経験を手がかりに、ありふれたものや細部の魅力を味わいたい。
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