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最終更新日:2026年10月16日

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英語学英米文学特殊講義X

十九世紀アメリカの短編小説3――デジタル人文学の実践に向けて
本授業は、デジタル・ヒューマニティーズ(Digital HumanitiesまたはDH)についてまったくの初心者である学生(そして担当教員自身)を対象とする。文学研究に機械を導入することの是非については、これまで盛んに議論されてきた。自然言語処理(NLP)や大規模言語モデル(LLM)をはじめとする近年の技術革新は、規模と速度の両面で驚異的であると言える。しかし(担当教員自身を含む)多くの伝統的な文学研究者は、そうした変化を半ば意識的に見ないふりをしたり、あるいは内心で恐れたりしながら、新しいツールに疑いの目を向け、「機械が本当にテクストを『読む』ことなどできるはずがない」と自らを納得させてきた。

ところが、生成AIの登場によって、そのような安心感に支えられた立場は揺らぎつつある。まるでウイルスのようにAIは我々の日常へ入り込み、すでに我々のすぐ近くにいる。教室でもインターネット上でも、AIが生成したテクストは急増しており、この加速するデジタル環境から逃れる道はほとんどないように思われる。ある文章が人間によって書かれたものかAIによって書かれたものか判別することはもはや困難で、学生と教員のあいだに漂う相互不信の空気も否定できない現実である。SFのよう状況が現在進行形で起こりつつあるのは、誰しもが少なからず感じるところであろう。

本授業では、担当教員の専門分野である19世紀のアメリカ文学作品を読みながら、計算的アプローチによる文学テクストの分析を実際に試みる。授業で扱う方法論には、n-gram、Word2Vec、BERT、生成AIなどが含まれるが、必ずしも本格的な分析を行うことは目指していない。反復表現を見つける、重要語の周辺に生じる意味のまとまりを探る、といった小規模な方法を用いて、デジタルなテクスト分析の練習を行う。また、簡単なコードを書いたり、小さなアプリを作ったりする、いわゆるvibe codingも授業の内外で試すことになる。

各回の授業では、作品テクストの精読、Google Docs上でのコメント共有、そしてデジタルツールを用いた短い実験を組み合わせて進める。文献資料はすべてGoogle Docsで共有し、学生は学期を通じて随時コメントを書き込むことが求められる。内容は精読や解釈に関するものでもよいし、テクストをデジタル・計算的に分析するためのアイデアでもかまわない。

AIについての理論的考察ももちろん歓迎する。しかし、この授業の中心的な目標は、Open AI CodexやClaude Codeあるいはそれに類するツールを用いて、とにかく何かを実際にやってみる、ことにある。仮に本授業が、大量のデジタルなゴミを生み出すだけで終わったとしても、ツールに一度も触れることなく洗練された理論だけを語るよりは、はるかに有意義であると考えている。したがって、本授業では成果よりも過程を重視し、実験が失敗に終わっても、出力が整理されていなくても、それを生み出した過程自体を意味のある成果として受け止める。

本授業には、これまで文学研究においてデジタル的な方法論の使用を躊躇してきた人々(担当教員自身を含む)をとりわけ歓迎する。もちろん、すでにデジタルなアプローチに関心をもっている学生も大いに歓迎する。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04263050
FLE-HU4Q04L2
英語学英米文学特殊講義X
古屋 耕平
S1 S2
金曜3限
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講義使用言語
日本語/英語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
可
開講所属
文学部
授業計画
(出席人数等によって若干の変更の可能性あり。) 1.Introduction: How to Go Digital in Literary Studies 2.Charles Brockden Brown, “Somnambulism: A Fragment” 3.William Austin, “Peter Rugg, the Missing Man” 4.James Kirke Paulding, “The End of the World: A Vision” 5.Washington Irving, “The Devil and Tom Walker” 6.Catharine Maria Sedgwick, “Cacoethes Scribendi” 7.Nathaniel Hawthorne, “Ethan Brand” 8.Nathaniel Parker Willis, “The Lunatic’s Skate” 9.Edgar Allan Poe, “The Man of the Crowd” 10.Harriet Beecher Stowe, “The Minister’s Housekeeper” 11.James McCune Smith, “The Washerwoman” 12.Thomas Bangs Thorpe, “The Big Bear of Arkansas”
授業の方法
参加者は学期中に最低1回のプレゼンテーションを行う。また、参加者は毎回の授業でコメントを提出し、それを元にした議論を行う。学期末には学期末レポートを提出する。  プレゼンテーション及び学期末レポートにおいては、高度な技術的完成度は求められない。学生は、自分が何を試みたのか、何がうまくいき何がうまくいかなかったのか、そしてその過程を通して何を学んだのかを振り返ることが奨励される。
成績評価方法
成績は、毎週の授業内活動への参加、プレゼンテーション、そして学期中の取り組みとその成果を振り返る学期末レポートに基づいて評価する。 授業内活動および貢献:30% プレゼンテーション:20% 学期末レポート(テクストの分析と実験の報告):50%
履修上の注意
特記事項無し。
その他
原則として対面で行うが、必要に応じて、相談の上、適宜オンラインも取り入れる。(対面・オンライン併用型A)