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最終更新日:2025年4月21日

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フランス語圏言語文化

フランスのヴァカンス映画
ヴァカンス大国フランスには、「ヴァカンス映画」の系譜が存在する。ジャン・ルノワールの『ピクニック』(1936)は、ヌーヴェル・ヴァーグに敬愛された監督の作らしく、郊外の自然、陽の光、水面のきらめき、それらから匂い立つ官能を見事に捉えている。ジャック・ロジエ監督『オルエットの方へ』(1971)は、魅力的な若い女性三人による海辺のヴァカンスを舞台に、太陽・海・風の織りなす奇跡的な瞬間を捉えつつ、楽しいはずのヴァカンスがいたたまれない時間へと変容する過程をも描き出している。その他、月永理絵が「ヴァカンスはつらいよ」というコピーをつけた『緑の光線』(1986、エリック・ロメール監督)、何の共通点もない人びとが成り行きのままに出会って騒いで別れるまでの、かけがえのない瞬間を捉えた、素晴らしく素っ頓狂な映画『メーヌ・オセアン』(1985、ジャック・ロジエ監督)、ヴァカンス客を迎える側のやるせなさを描く『女っ気なし』(2011、ギヨーム・ブラック監督)、ヴァカンスの特権性を問題としつつも軽さや笑いを手放さない『みんなのヴァカンス』(2020、ギヨーム・ブラック監督)を採りあげたい。ヴァカンス映画に描かれた海、恋、出会い、友情を堪能しつつ、夏の終わりの切なさをも噛みしめよう。そして、人生における vacance(空白、不在)の意味についても思いを馳せてみよう。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04253221
FLE-HU2S04L1
フランス語圏言語文化
塩塚 秀一郎
A1 A2
火曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
1.イントロダクション 2.ピクニック(ルノワール) 3.オルエットの方へ(ロジエ)1 4.オルエットの方へ(ロジエ)2 5.緑の光線(ロメール)1 6.緑の光線(ロメール)2 7.メーヌ・オセアン(ロジエ)1 8.メーヌ・オセアン(ロジエ)2 9.女っ気なし(ブラック) 10. みんなのヴァカンス(ブラック)1 11. みんなのヴァカンス(ブラック)2 12. 予備日 13. まとめ
授業の方法
対面で行う。 短い映画(ピクニック、女っ気なし)については、授業の前半で映画の全体を鑑賞し、後半の時間を使って参加者のあいだで議論を行う。 長い映画については、前半と後半にわけて鑑賞し、授業の前半で鑑賞、後半で議論を行う。 映画を見る際には、ストーリーの展開よりも、画面に何が映っているのかに注意を集中し、必要があればメモをとって後の議論に活かしてもらいたい。
成績評価方法
授業への参加度(出席状況、議論への参加)と期末のレポートを勘案して評価する。 演習への参加者が少ない場合、授業への貢献のみで評価する場合もある。
教科書
論文、評論、映画パンフレットなど、必要に応じてコピーを配布することがある。
参考書
Olivier Curchod, Partie de campagne de Jean Renoir, Nathan, 1995 Derek Schilling, Eric Rohmer, Manchester University Press, 2017 Jacques Rozier : Le funambule, Sous la direction d'Emmanuel Burdeau, Cahiers du cinéma, 2001 伊藤洋司、『映画時評集成 2004-2016』、読書人、2017、p.160-161, 260-261, 380-394 濱口竜介、「かわいい人—ギヨーム・ブラック『女っ気なし』」、『他なる映画と2』、インスクリプト、2024、p.143-151
履修上の注意
特になし