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最終更新日:2025年4月1日

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応用倫理特殊講義VII

ケアの倫理入門
本講義では、キャロル・ギリガンが提唱した「ケアの倫理」を起点にしながら、育児、介護、看護等のケア実践のみならず、配慮や思いやりなどのケア精神が文学においていかに表象されてきたかについて考えていく。ギリガンの『もうひとつの声で』(風行社)や『抵抗への参加』(晃洋書房)、ケア・コレクティヴ『ケア・宣言 相互依存の政治へ』(大月書店)などの議論を振り返りながら、ギリガンがナラティヴ(物語)を用いて「ケア」とは何かを探求していく方法論も見ていく。また、ギリガンに影響を及ぼした作家としては「ケアとジェンダー」の問題意識を創作に活かしたイギリスの作家ヴァージニア・ウルフがいる。この文脈で読める文学としては、ウルフ『灯台へ』、アンネ・フランク『アンネの日記』、松田青子『おばちゃんたちのいるところ』などがあるだろう。この「ケアとジェンダー」以外に、「ケアと他者」「ケアと脆弱性」「ケアと戦争」といったテーマも扱う。具体的には、メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』、シェイクスピア 『リア王』、カフカ『変身』、大江健三郎『万延元年のフットボール』、ウルフ『三ギニー』、ハン・ガン『菜食主義』『別れを告げない』などをケアの倫理という切り口で読み解いていく。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04250077
FLE-HU4205L1
応用倫理特殊講義VII
小川 公代
S1 S2
木曜5限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
第1回 本授業について+ ケアとジェンダー1(ギリガンの『もうひとつの声で』『抵抗への参加』、ケア・コレクティヴ『ケア・宣言 相互依存の政治へ』、アンネ・フランク『アンネの日記』など) 第2回 ケアとジェンダー2(ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』『自分ひとりの部屋』、松田青子『おばちゃんたちのいるところ』、ハン・ガン『菜食主義』など) 第3回 法文二号館の大教室で講演(長崎大学医学部の泉川先生) 第4回 ケアと他者1(テイラーの「多孔的な自己」、ウルフの両性有性など) 第5回 ケアと他者2(メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』など) 第6回 ケアと脆弱性1(シェイクスピア 『リア王』、カフカ『変身』、朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』など) 第7回 ケアと脆弱性2 (大江健三郎『万延元年のフットボール』、津村記久子『水車小屋のネネ』など) 第8回 ケアと戦争1(ウルフ『三ギニー』、ハン・ガン『別れを告げない』など) 第9回 発表/コメント(ウルフ『灯台へ』人数によってグループ・ディスカッション) 第10回 発表/コメント(メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』人数によってグループ・ディスカッション) 第11回 発表/コメント(ハン・ガン『別れを告げない』人数によってグループ・ディスカッション) 第12回 発表/コメント(ハン・ガン『菜食主義者』人数によってグループ・ディスカッション) 第13回 まとめ+レポート提出
授業の方法
(現時点では)具体的な授業方法は、第1回〜第9回までは講義形式を主とする。詳細は第1回の授業で説明するが、第1回〜第9回の間に4回リアクションペーパーを提出する。第10回〜第12回では、それまでの講義内容を踏まえて、割り当てられた作品(あるいは選んだ作品)を自分で決めておき、発表者/発言者は、その部分のあらすじ、気になった箇所やいくつかの重要な引用部を抜き出し、コメントをする。期末レポートは、発言した内容をエッセイ形式でまとめたもの。
成績評価方法
(1)授業参加度:リアクションペーパーは合計4回提出(40%)、コメント(20%)に加えて(2)期末レポート(40%)。
教科書
小川公代『ケアする惑星』(講談社)、『世界文学をケアで読み解く』(朝日新聞出版社) 以下から一冊を何かしらの形で手に入れてください。(レポートに選ぶテクスト) (1)ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(または『菜食主義者』) (2)メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』 (3)ハン・ガン『別れを告げない』
参考書
シャーロット・ゴードン『メアリ・シェリー』小川公代訳(白水社) 小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』(講談社) 岩川ありさ『養生する言葉』(講談社) キャロル・ギリガン『もうひとつの声で』(風行社)、『抵抗への参加』((晃洋書房) ケア・コレクティヴ『ケア・宣言 相互依存の政治へ』(大月書店)
履修上の注意
履修を決めた場合、第3回の授業までに、(1)ウルフ『灯台へ』、(2)メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』、(3)ハン・ガン『別れを告げない』のいずれか一冊を何かしらの形で手に入れて、発表までに読んで準備しておくこと。第10回〜第12回は割り当てられた担当の作品について発表/グループ内で発言を行うため、その際に配布したレジュメも提出すること。意欲があれば専門的な知識は問わない。初回授業時に担当者の割り当て(もしくは人数が多い場合はグループ分け)を行なうので、出席することが望ましい(2回目以降からの出席でももちろん対応するが、割り当て箇所の希望が通るとは限らない)。