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最終更新日:2024年4月22日

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文化資源学特殊講義XI

展覧会の文脈:美術館を読む/展覧会を読む
美術館・博物館、そこでの展覧会を、「鑑賞」する対象としてだけではなく、「読み取る」力をつける。
美術館・博物館における展覧会の構造を、図録や展示構成、パネルなどから読み取る実習を通して、展覧会が位置付けられる社会的文脈を見つける力を養い、さらに、美術館・博物館の社会的存在意義を再考する思考力をつける。
そのプロセスを通して、美術をめぐる歴史がどのように作られるのかを意識できるようになる。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04245151
FLE-XX4304L1
文化資源学特殊講義XI
李 美那
S1 S2 A1 A2
集中
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
YES
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
前期は7月16日(火)17日(水)、後期は1月の集中講義期間に2日間、合計4日間の集中講義として行う。 前期1日目: ・実務経験をもとに、教員が展覧会を支える構造について解説する。 ・展覧会の会場において、また図録などの資料から、展覧会の構造をどのように読み取るかを学ぶ。 ・キュレーターが展覧会企画時に意識するいくつかの文脈(美術館にとっての企画の意義、社会におけるその展覧会の意義、社会の中でその展覧会がどのような文脈に位置づけられるのか、など)、展覧会の文脈を作る要素(美術館自体が持つ背景、学芸員の研究内容、研究者のネットワークなど)を具体的展覧会を素材に、読み取学び、展覧会の「鑑賞」行為からは見えにくい企画プロセスを、見る立場から読み取ることを試みる。 前期2日目: 学外に出て、展覧会を訪ねる。グループ単位で、会場で読み取れることを最大限に集め、整理し、プレゼンテーションへとまとめる。 後期:展覧会の訪問、読み取り、資料収集、プレゼンテーション準備、最終ディスカッションを行う。
授業の方法
教室での講義と合わせ、実際に博物館・美術館の展覧会を訪ねるワークショップを行う。 展覧会を訪ねて読み取ったことを、グループ単位で検討し、プレゼンテーションを行う。 各グループのプレゼンテーションをもとにディスカッションを行い、展覧会を社会の文脈にどのように位置付けることができるのかについて考える。
成績評価方法
講義および展覧会観覧のワークショップへの出席を重視する。 グループ単位での検討における積極的働きかけ、ディスカッションへの参加を重視する。 レポートを課す場合もある。
教科書
「生誕120年 棟方志功 メイキング・オブ・ムナカタ」(東京国立近代美術館、2023年10月6日〜12月3日開催)の図録をじっくり眺めることを勧める。できれば、過去の棟方展図録と見比べてみることを勧める。
参考書
興味のある展覧会をいくつかみて、会場の挨拶や図録の奥付け、目次などをじっくりみておくこと。
履修上の注意
上にあげた「生誕120年 棟方志功 メイキング・オブ・ムナカタ」の図録から、読み取れるを最大限に読み取ってみる。棟方についての掲載論文等、内容についてももちろんだが、挨拶、奥付けなどに特に注目してほしい。この展覧会がどのような体制に支えられて成り立っているかを読み取り、なぜそのような体制が必要だったのか、または持ち得たのかを考えてみてほしい。 また、この展覧会が、従来の棟方展とどのように異なるのかについて、まとめておくことを勧める。
実務経験と授業科目の関連性
二つの公立美術館(静岡県立美術館、神奈川県立近代美術館)で学芸員(キュレーター)を24年半にわたって務め、東アジア近代の複雑な歴史性を反映した展覧会を企画した経験をもとに、展覧会「鑑賞」行為からだけでは見えにくい、企画のプロセスや考え方の事例を挙げながら講義する。 実務経験のある教員が具体的経験をもとに展覧会の構造を解説することで、キュレーターがキュレーションを行う思考のプロセスや、そこに組織や社会、研究者のネットワークがどう関わっているかを知ることができ、翻って、展覧会を「鑑賞」する行為からさらに進んで、展覧会を読む力を身につける。