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最終更新日:2024年4月22日

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スラヴ語学スラヴ文学演習IX

ロシア文化史
革命や戦争といった国家規模の社会的出来事は、往々にして国民や民衆の名のもとに行われますが、他方で、国民、民衆といったものは最初から自明のものとして存在する単位ではなく、政治的・文化的権力によって一定のまとまりとして構成されたうえで、自らのアイデンティティを獲得していくものです。
こうした相互作用のなかで生じる主体の登場を考えるため、本演習では、ロシアを代表する文化史家アレクサンドル・エトキントの代表作『鞭身派:セクト・文化・革命』(1998)を読み、「民衆(ナロード)」概念が、ロシア文化のなかでいかに形成されてきたかを追っていきます。エトキントによれば、ナロードは、ロシア国家による自国植民地化の対象として、公的な文化圏から排除されつつ構成されました。このように抑圧的に形成されたナロードは、たとえば宗教セクトなど、一般公共圏の文化とは異なる独自の文化を発達させていきます。翻ってロシアの知識人エリートたちは、そうした「他者」としてのナロードを神秘化し、そこにロシア・ナショナリズムの文化的資源、さらには革命の原動力を認めました。このように、ナロードの創造に知識人の文化が大きな責任をもっているという問題意識をもちつつ、エトキントの議論を追っていきたいと思います。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04243369
FLE-HU4T05S4
スラヴ語学スラヴ文学演習IX
平松 潤奈
S1 S2
金曜5限
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講義使用言語
日本語/ロシア語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
1.ガイダンス 2.序文 3.スキャンダラスなもの 4.黙示録的なもの 5.系譜学的なもの 6.歴史的なもの 7.統計的なもの 8.儀式的なもの 9.記号論的なもの 10.社会学的なもの 11.民俗学的なもの 12.ユートピア的なもの 13.セクシュアルなもの
授業の方法
アレクサンドル・エトキント『鞭身派:セクト・文化・革命』Александр Эткинд, Хлысты. Секты, литература и революция. M., 1998 の序文と第1章の重要な箇所をロシア語原文で読んでいきます。 履修者の方々には、一定量の文章の翻訳の担当、授業内での報告をお願いします。それをもとにみんなでディスカッションを行いたいと思います。 (かなり長いテクストで、一部省略して重要な点だけを読んでいっても、13回で第1章を読み終わることは難しいと予測されるので、来年度の授業で、今年度終わったところから引き続き読んでいく予定です。)
成績評価方法
授業中の報告、ディスカッションへの参加などで総合評価します。
教科書
授業中に配布します。
参考書
授業中に配布します。
履修上の注意
ロシア語テクストを講読していきますので、ロシア語の基本文法を習得していることが必要です。