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最終更新日:2025年4月21日
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東洋史学特殊講義I
三国志の研究
西晋の陳寿の『三国志』は、魏・蜀・呉の王朝の歴史を書いた正史である。三国志の時代の真実を知るにはまずこの『三国志』を読むことから始めねばならない。ただし、『三国志』は正史といえども、また今日でいうところの客観的な歴史を記した歴史書ではない。特定の目的や意図をもって選ばれた事実によって構成された歴史書である。その意図とは、一言でいえば統一が正当化されているということである。これは陳寿が『三国志』を書いていたときに仕えていた西晋が、中国の統一の達成を最大の正統性の根拠としていた政権であったことを背景としている。しかし、漢帝国が崩壊したように、旧来の帝国による統一を拒む力は、さまざまな地域や民族から沸き起こっていたのである。この統一と分裂に向かう二つの力のせめぎ合いは三国志の歴史を展開させた原動力である。そこで本講義では、『三国志』を批判的に読みながら、三国志の新たな時代像を考え直すことを試みてみたい。
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