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最終更新日:2025年4月21日

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東洋史学特殊講義I

三国志の研究
西晋の陳寿の『三国志』は、魏・蜀・呉の王朝の歴史を書いた正史である。三国志の時代の真実を知るにはまずこの『三国志』を読むことから始めねばならない。ただし、『三国志』は正史といえども、また今日でいうところの客観的な歴史を記した歴史書ではない。特定の目的や意図をもって選ばれた事実によって構成された歴史書である。その意図とは、一言でいえば統一が正当化されているということである。これは陳寿が『三国志』を書いていたときに仕えていた西晋が、中国の統一の達成を最大の正統性の根拠としていた政権であったことを背景としている。しかし、漢帝国が崩壊したように、旧来の帝国による統一を拒む力は、さまざまな地域や民族から沸き起こっていたのである。この統一と分裂に向かう二つの力のせめぎ合いは三国志の歴史を展開させた原動力である。そこで本講義では、『三国志』を批判的に読みながら、三国志の新たな時代像を考え直すことを試みてみたい。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04241241
FLE-HU4I02L1
東洋史学特殊講義I
佐川 英治
S1 S2
火曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
第1回 陳寿と『三国志』 第2回 洛陽灰燼 第3回 反董卓連合と献帝の彷徨 第4回 忠臣と奸臣の曹操 第5回 赤壁では何が戦われたか 第6回 劉備の入蜀と関羽の死 第7回 文帝と明帝の魏帝国 第8回 諸葛亮の実像と虚像 第9回 呉帝国の行方 第10回 劉禅の降服 第11回 司馬氏の台頭 第12回 西晋の短命 第13回 中国史の求心力と遠心力
授業の方法
受講者は事前にUTOLから資料をダウンロードし、読んでおく。授業では、陳寿の本文と裴松之が注で引用する諸史料を比較しながら、史料批判に基づく実証的な方法で講義をおこない、課題を出す。レポート提出の方法については初回に説明する。
成績評価方法
三回のレポートと出席によって評価する。
教科書
教科書は使用しない。事前に資料を配付するので受講者はUTOLからダウンロードし、読んでおくこと。
参考書
今鷹真・井波律子・小南一郎訳『正史 三国志』 全8巻、筑摩書房 (ちくま学芸文庫) 。 渡邉義浩編『全譯 三國志』第1冊、第2冊、第6冊、第7冊、汲古書院。 金文京『三国志の世界』講談社(講談社学術文庫)、2020年。 渡邉義浩著『三国志研究入門』日外選書、2007年。 関尾資料『三国志の考古学‒出土資料からみた三国志と三国時代』東方書店、2019年。 関尾史郎『周縁の三国志‒非漢族にとっての三国時代』東方書店、2023年。
履修上の注意
史料に漢文の原典を用いて講義するので、受講者は参考書などを利用して読んでおくこと。