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最終更新日:2024年10月18日

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宗教学宗教史学特殊講義V

ユダヤ教における聖戦:理念と実践
 1948年のイスラエルの建国は、ユダヤ教思想にさまざまな影響や変化をもたらした。そのなかで、最も重要な論題のひとつとみなされてきたのが「聖戦」である。ユダヤ教における聖戦の観念は、聖書に記されたイスラエルの民と異教徒の戦争の記述にその源泉を持つ。そして、マカバイ戦争や対ローマ戦争は、宗教的な理由によって動機づけられた戦争としてユダヤ人たちが実践したものであるだけでなく、その後のユダヤ教の儀礼や伝承においても想起された。その後、離散という状況のなかで、戦争はユダヤ人たちが実践するものから、ユダヤ法の枠組みで論じられる主題へと変容した。現代のイスラエルは、中世以来このようにして理念化された聖戦がふたたび実践されうる状況を生み出している。そこで本講義では、ユダヤ教における聖戦という主題について、理念と実践というふたつの視点から歴史的に検討する。そのうえで、イスラエル建国後の歴史的状況のなかで、この聖戦の観念がどのように解釈され、どのように適用されてきたのかを考察する。
 本講義の到達目標は、①ユダヤ教における聖戦の観念の歴史を理解すること、②現代のイスラエルにおけるユダヤ教の聖戦観念の解釈や適用を理解すること、③聖戦という主題について、ユダヤ教やその他の宗教の事例から自分の意見を表現すること、の3点で構成される。いずれの点においても講師の意見や解釈を提示するが、それらに対する積極的な応答や議論を望む。
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時間割/共通科目コード
コース名
教員
学期
時限
04240545
FLE-HU4E03L1
宗教学宗教史学特殊講義V
志田 雅宏
S1 S2
火曜3限
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講義使用言語
日本語
単位
2
実務経験のある教員による授業科目
NO
他学部履修
開講所属
文学部
授業計画
各回の授業内容は以下のとおりである。なお、進捗状況に応じて内容の変更等もありうる。 第1回:イントロダクション 第2回:聖書における戦争の記述 第3回:第二神殿時代後期の終末論と聖戦 第4回:ふたつの対ローマ戦争 第5回:タルムードにおける戦争論 第6回:マイモニデスの法典における戦争の規定 第7回:ナフマニデスの聖書解釈における聖地の征服の戒律 第8回:中世アシュケナズィ社会における聖戦の実践 第9回:宗教シオニズム思想における聖戦思想の再興 第10回:イスラエル建国と聖戦の現実化 第11回:第三次中東戦争(1967年)と第四次中東戦争(1973年)に対する聖戦としての解釈 第12回:過激化する聖戦思想 第13回:まとめ
授業の方法
講義形式でおこなう。
成績評価方法
小テスト(10%)と期末レポート(90%)にて評価する。
教科書
教科書は指定せず、必要な資料等は授業内で紹介・配布する。
参考書
本授業に最も関連のある文献として以下を挙げる。 Reuven Firestone, Holy War in Judaism: The Fall and Rise of a Controversial Idea, Oxford: Oxford University Press, 2012.
履修上の注意
講義資料は事前にUTOLにアップする予定である。受講にあたって予習してくることが望ましい。 ユダヤ教の用語や人物については授業内でも説明するが、必要に応じて百科事典等で予習や復習をすること。文献として、The Oxford Dictionary of The Jewish ReligionとEncyclopaedia Judaicaの二点を推奨する(いずれも宗教学研究室にて所蔵あり)。